マッキンゼー ネクスト・ノーマル

アフターコロナの勝者の条件
未読
マッキンゼー ネクスト・ノーマル
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アフターコロナの勝者の条件
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マッキンゼー ネクスト・ノーマル
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2021年09月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

新型コロナウイルスはこの先、世界にどのような影響を与えていくだろうか。本書は、パンデミックの収束は世界中で同時に進むのではなく「パッチワーク型」、つまり継ぎはぎで進行し、あわせてネクスト・ノーマルも少しずつ、さまざまな形で訪れると予測する。

そもそもコロナ禍はいつ収束に向かうのか、不透明感が漂う。しかし手をこまねいていれば、変化に追いつけず取り残されてしまう。

本書は、予測が難しいネクスト・ノーマルに真正面から向き合い、膨大な調査結果からこの先の未来を予測するマッキンゼーの調査報告書である。ネクスト・ノーマル時代に求められるものを、世界屈指の頭脳集団が考察しており、「次」を考えるうえで重要な示唆を与えてくれる。明確な数値やデータに基づいて現状分析をしており、説得力が高い。

新型コロナがもたらした劇的な変化は、変化に対応できないものに悲劇を与える一方、変化を機会と捉えて成長のきっかけともなり得る。ネクスト・ノーマルは決してバラ色ではないが、厳しい状況にあるからこそ、高い志と長期の視点を失ってはならないと本書は指摘する。

マッキンゼーが描くネクスト・ノーマルから、次の時代の経営戦略を立案したり、私たち自身の行動を考えたりするきっかけとしていただきたい。

ライター画像
香川大輔

著者

小松原 正浩(こまつばら まさひろ)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 東京オフィス シニアパートナー
慶應義塾大学文学部卒業、コロンビア大学国際公共政策大学院国際関係論修士課程修了。先端産業研究グループのグローバルにおけるリーダーの一人。最近は、製造業、メディア、流通、交通、運輸など、幅広い業種のコンサルティングを行う。また、アジアにおいて自動車業界を担当するリーダー。30年にわたるマッキンゼーでのコンサルティング経験を生かし、戦略策定、新規事業開発、組織変革、購買や研究開発、サプライチェーン部門でのオペレーション改善など、幅広い領域で支援を行っている。2015年から東京大学大学院非常勤講師として、企業戦略論を担当。

住川 武人(すみかわ たけひと)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 東京オフィス パートナー
東京大学法学部卒業、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。外務省勤務後、マッキンゼーに参画。未来のモビリティに関して研究するMcKinsey Center for Future Mobilityのアジアにおけるリーダー。自動車、建設機械、交通運輸、ハイテク等、モビリティに関わる産業を中心に、事業戦略、新規事業創出、サステナビリティ変革、デジタル変革、オペレーション改善等、幅広い分野で、経営幹部に対して持続力ある成長を実現するためのさまざまな助言を行っている。マッキンゼー社内では、アジアにおけるダイバーシティ推進を担当するリーダーの一人。

山科 拓也(やましな たくや)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 関西オフィス パートナー
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。自動車・組立産業、先端エレクトロニクス、電力および天然ガスセクターのクライアントに対しコンサルティングを提供し、戦略策定、オペレーション変革および新規事業の立ち上げを数多く支援。コンサルティング以外の分野においては、採用や人材開発にも注力している。現在、アジアおよび日本のオペレーション研究グループにおけるダイバーシティ強化の取り組みをリードしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    新型コロナは、経済環境における新常態を生み出し、消費者行動や移動の在り方を変容させた。
  • 要点
    2
    サプライチェーンにも変革が求められるとともに、リスク管理の重要性も増している。
  • 要点
    3
    雇用、消費、貯蓄に集約される諸課題の解決のため、企業が主体的に、重要な役割を果たす必要がある。

要約

経済環境とネクスト・ノーマル

消費者の購買行動の変化

新型コロナウイルス感染症は、生活スタイルの変化を通じて、消費者の購買行動に変容をもたらした。まずは、日本を対象にした調査結果を見ていこう。

日本では消費者の家計状況が悪化しており、最も感染者が多かった時期においては、生活必需品以外の支出を控えるようになったことが分かっている。外出を控える傾向が強まったことで、オンラインと実店舗を組み合わせた購入プロセスの「デジタル・オムニ・チャネル」へのシフトが加速した。消費者は新しい商品や買い方を試しており、顧客ロイヤリティの在り方は大きく変容した。コロナ禍は新しい顧客を獲得するチャンスとなる一方、固定客を失うリスクもはらむ。

次に、いち早く以前の生活に近い形に戻った中国の変化から、日本が学ぶべきことを検討する。注目したい顕著な変化として、デジタル・オムニ・チャネルがさらに拡大したことが挙げられる。顧客ロイヤリティの変化は日本を上回っている。

変化した消費者の購買行動に適応し、成功した企業も存在する。そうした企業は、極めて短期間でオンラインチャネルを構築することで、巣ごもり需要をうまく取り込んでいる。

新型コロナで存在感が増すZ世代
Nataliia Nesterenko/gettyimages

新型コロナの感染拡大に伴い、デジタルを活用したサービスが世界的に流行した。こうした新しい消費行動を牽引したのが、1996年から2012年生まれ、デジタルネイティブのZ世代である。

Z世代の特徴として「多面性」がある。バーチャルを含む複数のコミュニティに帰属し、複数のアイデンティティを使い分ける。個性を主張できる人気ブランドを好み、消費活動においてはサステナビリティ、倫理観を重視する。購入前に動画などを駆使して徹底的なリサーチをするが、所有することにはこだわらない。

一方、Z世代は「倫理観を重視しても、高価格を許容するわけではない」、「パーソナライゼーションを好むが、個人情報は出したくない」、「ネットで大量の情報を得ても、結局は家族や友人を一番信頼する」といった相反するような特性をもつ。Z世代の特徴をしっかりと理解したうえで、その両面を満足させる商品やサービスの提供が求められる。

移動の在り方が直面する変化

新型コロナが最も大きな影響を与えた領域の1つが、移動の在り方だろう。旅行業界は、世界のGDPの10%を占める一大産業だが、2020年の国際移動は58~78%の大幅減となった。

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要約公開日 2021.12.23
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