キャリア・ウェルネス
キャリア・ウェルネス
「成功者を目指す」から「健やかに働き続ける」への転換
著者
キャリア・ウェルネス
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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出版日
2021年11月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

バブル時代に会社員を経験している要約者にとって、仕事にも金銭にも欲がない今の若者世代が謎だった。本書を読み、その理由が腑に落ちた。

著者の村山昇氏によると、要約者は「成功のキャリア」世代である。「成功のキャリア」では、常に競争、成果、スピードを求められた。しかし、心身がそれについていけなくなり、生物的な保存のスイッチが入ったことで「自己防衛キャリア」が生じたのではないかと著者は指摘する。仕事は不快なので遠ざけ、私生活の快を守ろうとしていたのだ。これが、現在の若者世代の「自己防衛のキャリア」観だ。しかし、働くことを忌み嫌い、私生活の快楽だけをよしとするのもまた、不健全さが残る。

現役で働く期間が長くなってきている今、「自己防衛のキャリア」観では、逆にストレスが貯まってしまうだろう。

本書では、新たなキャリア観「キャリア・ウェルネス」を提案している。それぞれが自分らしく健やかに働き続けることを目指すという考え方だ。

それを実現するためには、自分が持つ仕事に対する根本的な「観」を見直すことが必要だ。本書では、要所ごとに著者が行っている「キャリア・ウェルネス・ワークショップ」の講義スライドが取り入れられているので、研修を受けているように理解ができる。

経営者や人事担当者による従業員に対するキャリア研修としてはもちろん、長いキャリアを歩み始めたばかりの若手社員から、モチベーションが低下しつつあるベテラン社員にもおすすめだ。自分のキャリア観を見つめ直すヒントになるだろう。

ライター画像
中山寒稀

著者

村山昇(むらやま のぼる)
キャリア・ポートレートコンサルティング代表。
組織・人事コンサルタント。概念工作家。
企業の従業員・公務員を対象に、「プロフェッショナルシップ(一個のプロとしての基盤意識)醸成」研修はじめ、キャリア開発研修、「コンセプチュアル思考」研修、管理職研修などの教育プログラムを開発・実施している。哲学の要素を盛り込んだ内省ワークや直観的に本質をつかむ図表現、レゴブロックを用いたキャリアのシミュレーションゲームなど、独自の手法で企業内研修の分野で幅広く支持を受けている。1986年慶応義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。著書に、『スキルペディア』『働き方の哲学』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『キレの思考 コクの思考』(東洋経済新報社)、『ぶれない「自分の仕事観」をつくるキーワード80』(クロスメディア・パブリッシング)など。
ビジネスホームページは
https://www.careerportrait.biz/

本書の要点

  • 要点
    1
    高度経済成長期は、「成功のキャリア」を目指した。その反動で生まれたのが、仕事はほどほどで自分の心と身体を守る「自己防衛のキャリア」だ。人生100年時代の今、目指すべきは、働くことにより「ウェル・ビーイング」になる「健やかさのキャリア」である。
  • 要点
    2
    同じように見える仕事であっても、その仕事をする動機により、ライスワーク、ライフワーク、ソウルワークに分かれる。ライフワーク、ソウルワークを求めることは、いつからでもできる。
  • 要点
    3
    これからは、仕事観やキャリア観のような「観」の醸成を促すキャリア研修が必要だ。

要約

【必読ポイント!】 健やかに働き続ける

今、目指すべきキャリア観とは?
DjordjeDjurdjevic/gettyimages

戦後の高度経済成長期から称揚されてきたのは、「成功のキャリア」である。経済的価値にのっとり、上昇することだけを善としてきた。競争路線から外れると、負け組の烙印を押され、敗者復活も難しい。その反動として生まれたのが、仕事はほどほどにして自分の心と身体を守る「自己防衛のキャリア」である。

ときには自己を痛めつけながら戦う「成功のキャリア」も、快ばかりを追うことになりかねない「自己防衛のキャリア」も、極端な価値観だ。人生100年時代が到来した今、この2つのキャリア観を止揚したところにある「健やかさのキャリア」を育むべきだ。これは、自分の「在り方」を見つめ、働くことで「ウェル・ビーイング(良好、健やかであること)」な状態になることを目指すものだ。

生きる営みには、3つの戦いがある。

1つ目の戦いは、「身体・生活の維持」だ。生きるためには、働いてお金を稼ぐ必要がある。経済力を持つようになると「もっと持ちたい」「もっと快くすごしたい」という、「より裕福な生活」を求めるようになる。これが2つ目の戦いである。物質的、経済的に満たされることによって生活がおだやかになるが、これはまだ、「小さな健康」と呼ぶべき状態だ。

3つ目の戦いは、「大きな健康」を得るための、生きる意味の探求である。これを得るためには、想像や貢献に軸足を置いた活動に邁進する必要がある。自分の能力的存在が十分に開いていると感じたとき、人はもっとも強く安定する。それが長いキャリアを渡っていく健康力になる。

健やかなキャリア3つの要件

「健やかな仕事」とは、「こころとからだが強く安定した状態でなされる仕事」であり、同時に「それを行うことにより、こころとからだを強く、安定した状態にさせる仕事」である。「健やかな仕事」を積み重ねることで、「健やかなキャリア」が築かれる。

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要約公開日 2021.12.12
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