「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」と自分に問いかけてみると、後悔や疑問が思い浮かぶかもしれない。しかし、どんな人生にも必ず意味があることと、人はこの世に存在しているだけで価値があることを忘れてはならない。
著者はホスピス医として、人生の最期を迎えつつある患者さんに多く出会ってきた。そうした方たちは、自分の人生を振り返り、人生の意味を考えるうちに、それぞれの答えを手に入れ、穏やかで幸せな日々を過ごすようになる。人生の意味を見つけることは、間もなくこの世を去ろうとしている人にとって、本当の幸せを知り、心の穏やかさを手に入れるために必要なことなのだ。
健康に生きている人にとっても、人生の意味や自分の存在意義を知ることはとても大切だ。そうすれば、自分を肯定し、前を向いて歩いていける。
とはいえ、人生の意味を見出すのは簡単なことではない。なぜなら私たちは、人生の意味を「誰かの役に立つこと」「社会の役に立つこと」ととらえてしまいやすいからだ。しかし本当は、すべての人はただ生きているだけでいいのだ。
もし人生の意味や価値を見つけられないでいるなら、ぜひ一度「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」と考え、過去を丁寧に振り返ってみてほしい。そして、たとえ今はなにも見えてこなくても、あなたの人生には必ず意味や価値があることを忘れないでいてほしい。
「人生がもしあと1年で終わるとしたら?」と自分に問いかけたとき、「限られた時間で何をしたいか」を考える人は多いだろう。しかしその一方で、やりたいことがない人もいる。著者の患者さんにも「早くお迎えがきてほしい」という方が少なからずいた。
私たちはいつの間にか、「やりたいことがあるのは当たり前のことだ」「夢や目標を持つべきだ」と思い込んでしまっている。その価値観は、ときに人を苦しめる。たとえやりたいことが何もなかったとしても、焦ったり、自分を責めたりしないでほしい。
「やりたいことを見つけたい」と心から願うのであれば、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」と想像してみるのもいいかもしれない。きっと、それまでの価値観が崩れ、固定観念やしがらみから解き放たれて、見える景色が変わってくるだろう。もしかしたら、成長の過程で忘れたり、あきらめたり、我慢させられたりしたものを思い出し、今後の人生でやってみたいと思うかもしれない。
自分の人生を振り返ってみると、後悔していることが見つかるかもしれない。しかしどんな人でも、まったく後悔せずに生きることは不可能だ。事実を認め、受け入れていくしかない。
ただし、後悔をやわらげることはできる。そのために効果的なのは、同じような後悔を抱いている人と気持ちを分かち合うことだ。そしてその後悔から何を学べるのかを考えてみる。必ずやヒントが得られるだろう。
後悔を少なくするためには、決断の場面ではできるだけ一人で抱え込まず、心許せる誰かに相談し、話し合って決めることだ。亡くなった人や神さま、自然に向かって相談してもよい。
人はみな、生きるうえで何らかの責任を負っている。責任感が強いために、頑張りすぎて消耗したり、自分で自分を責めてしまったりする人もいるだろう。
また誰しも、何らかの事情で責任を果たせなかったり、他人に迷惑をかけてしまったりすることがあるものだ。だからこそ、自分の責任の一部を、ほかの人や自然、運命などにゆだねる覚悟も必要となる。
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