マネジメントは、年齢や役職にかかわらず、すべてのビジネスパーソンに必要不可欠なスキルである。仕事に限らず、人生は思い通りにならないものである。そんななか、物事を「いい感じ」にするのがマネジメントだ。限られたリソースを活用して、最大の成果を出すための手段といえる。
マネジメントは筋トレのように、日々の努力を要する「行為」である。知識を学ぶだけではなく、習慣化によって継続的な取り組みが求められる。
マネジメントの源流は、フレデリック・テイラーが発案した「科学的管理法」だといわれている。その特徴は「時間管理」にある。
「作業」を「動作」レベルに分解し、それぞれに要する時間を計測して、「標準的作業時間」を導き出した。これをもとに1日の作業ノルマを設定し、作業方法の標準化も行った。生産現場の工程に、「管理」の概念を持ち込んだことで、生産性が著しく向上したのである。しかし、次第に行き過ぎた効率至上主義が非難され、マネジメントの概念は「管理一辺倒」から「最適化」へと変化していった。
マネジメントの本来の目的は、「組織やチーム、個人のパフォーマンスを最大化するために最適化を図る」ことだ。一般的に「管理」と解釈されることが多い言葉だが、ルールやノルマで現場を管理するだけでは、仕事の効率化や合理化は進まない。
最適化を図るときは、自部門など社内の一部だけで最適化を進めた結果、全体で見ると大きなロスが生じるという「部分最適」になっていないか留意が必要だ。また、目先の利益を最大化し、行うべき投資を行わない「現状最適」にもならないようにしたい。
本書はマネジメントを「単位」と「対象」の2つの観点で捉える。「単位」とは集団の規模だ。自分、チーム、組織の順に大きくなる。「対象」はマネジメントの対象を指す。主な対象は、時間、仕事・タスク、感情、人間関係だ。例えば時間をマネジメントするなら、1日24時間という限られたリソースを、いかに「いい感じ」に分配するかを考える必要がある。
マネジメントの最初の対象は「自分自身」だ。セルフマネジメントの目的は自分自身のパフォーマンスの最大化である。セルフマネジメントの4大要素は、時間、仕事、環境、人間関係だ。
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