本書では「わかった」(つまり理解できた)を生み出す方法論、すなわち説明のノウハウを伝えていく。そもそも「説明」とは何かという大前提が共有されていなければならない。
「説明」とは「理解」を提供する行為である。頭を使って「誰でも同じように理解できる内容」を作って伝えることである。そして実際に伝えるときには、「説明」という行為は99%終わっている。これが本書における「説明」の定義だ。
ここでのポイントは2つある。「誰でも同じように」という点と「頭を使う」という点だ。説明するという行為はコミュニケーションではなく、思考なのだ。もし説明が要領を得ないのであれば、それは説明が下手なのではなく、思考が足りていないのだ。
「誰にでも同じように理解できる内容」はどう作るか。その際は逆の状況を考えるとよい。つまり「何をいっているかわからない」となる状況を考えるのだ。次の3点に注目しよう。
1つ目は論理的でないときだ。たとえば「お腹が空いた。花柄のワンピース着たい」という文章があるとする。2つの文章を「A→B」と矢印でつなぐことができないので、「何をいっているかわからない」となってしまう。
2つ目はピンとこないときだ。いくら論理的に伝えてもピンとこなければ理解にはいたらない。そんなときに有効なのが例(Example)と比喩(Metaphor)だ。説明上手な人はこれらの使い方がうまい。
3つ目は知らない言葉があるときだ。これについては解説不要だろう。
要するに「わかった」を生み出す条件は、(1)論理的である、(2)相手が感覚的にとらえられる、(3)相手の知っている言葉で語る、の3つの条件を同時に満たすことである。
説明とはコミュニケーションではなく思考であり、頭を使う行為が99%である。では残りの1%は何なのか。それは話し方が丁寧かどうかである。これが実際に口を使って伝える局面における最重要ポイントとなる。その理由は3つある。
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