現在は、読書を起点とした学習観自体が危機に瀕している。背景には、スマートフォンの普及と、動画や音声による効率的なオンライン学習手段の一般化がある。こんな時代に、面倒で非効率な読書は必要なのだろうか?
この問いに答えるために、著者はダニエル・カーネマンの著作、『ファスト&スロー』(早川書房)から、次の2タイプの思考法を紹介している。
「ファスト」思考 = システム1 = 「とびつき」思考、「浅い」思考、「茫然」思考
「スロー」思考 = システム2 = 「めんどくさい」思考、「深める」思考、「没頭」思考
デジタル全盛の現在、漫然と生きていると、浅いファスト思考ばかりがどんどん強化されていってしまう。この思考は、深く考えないで済ませられることを好むため、次第に私たちから「考える習慣」自体を奪っていく。
ビジネスは答えのない世界だ。お手軽なオンライン学習や、浅いレベルの読書で得られるような答えは役に立たない。あれこれと試行錯誤を積み重ね、スロー思考を全開にして、ようやく突破口を見出すことができる。
読書の最大の意義は、あえてスロー思考を働かせ、鍛えることができることにある。今という時代だからこそ読書が必要なのだ。
「1枚」フレームワークを提唱する著者は、様々なテーマで「紙1枚」にまとめる読書術をすすめる。
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