仕事ではよく「量か、質か」と言われるが、若い頃は量でも質でもなく「スピード」を重視すべきである。なぜなら、仕事を速くさばける人は量をこなせるし、丁寧に取り組んで質を高めることもできるからだ。スピードは仕事における最大の武器なのである。
「若い頃は」としたのは、仕事のスピードは、ビジネス人生の最初の数年間で決まることが多いからだ。ゆっくり働くことに慣れてしまうと、スピードをあげることはむずかしい。いまあなたが何歳であっても、できるだけ早く「スピード重視で働くこと」を覚えるべきだ。
ビジネスの世界では「仕事が早い=タイミングが早い」である。仕事が早いと評価されるためには、タイミング、つまり「いつやるのか?」という視点が重要だ。
具体的な方法としては、【タイミングの法則】を理解し、使いこなすこと。つまり、次の「3つのすぐ」を意識し、実行することだ。
・すぐやる:依頼された日のうちに、ほんの少しでも作業に手をつける
・すぐ出す:期限よりも早くに提出する
・すぐ答える:その場で暫定回答をしたうえで、1週間以内など期限を決めて正式回答する
上司やクライアントが部下や若い人になにかをお願いするとき、期待しているのは「タイミング」であり、レベルの高い業務ではない。「3つのすぐ」を身につければ、相手の期待に応えられるだろう。
また、ビジネスでは「信頼」が重要だ。信頼を獲得する方法は、【タイミングの法則】を使いこなすことにほかならない。「すぐやる」「すぐ出す」「すぐ答える」を繰り返して信頼を獲得していくと、いつしか「あなたにしかできない仕事」をつくるチャンスに恵まれるだろう。
仕事をこなすスピードを上げるには、【目標の法則】【分解の法則】【計測の法則】の3つが有効だ。
【目標の法則】とは、必ず目標をもって仕事に取り掛かるべき、ということだ。多くの人は「仕事を速くこなすために、まず知識を身につけよう」と考える。しかし、理想の進め方は「まず目標を明確にする→効率的な計画を立てる→行動に移す」の順番である。「18時までに業務を終わらせる」などと目標を明確にし、目標と現状の差分を埋めるための計画を立てて行動していく。「行動→計画→目標」ではなく「目標→計画→行動」の順番で取り組む習慣をつけよう。
次に、【分解の法則】だ。作業スピードをあげるには「分解すること」が欠かせない。企画書を1本つくるにしても、完成までには10以上のフローが存在する。一つひとつのフローを分解して考えることが、スピードアップの鉄則である。
【計測の法則】とは、「分解したことを、要素ごとに、客観的に記録する」と「数字や変化をメモする」だ。たとえば、メールを1本返信するとき、「メールアドレスの入力」「文面の作成」「推敲・編集」「送信」など、それぞれのタスクにどのくらい時間をかけているか、ざっくりと計測してみよう。あなたの仕事を遅くしている原因が、なんとなくではなく、ロジカルに見つかるはずだ。
【タイミングの法則】で「3つのすぐ」に不安を感じた人もいるだろう。「すぐ」を意識しすぎると、自分ができないことまで安請け合いしてしまうのではないかと。ここでは、その不安を解消する2つの構文を紹介する。
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