会話を続けるには、なにより「聞く力」が不可欠だ。
話し相手が「私、コブクロのファンなんですよ」と言ったとしよう。「聞く力」よりも「話す力」が大事だと考えている人は「コブクロはストリートからスタートしたんですよね。私もストリートミュージシャンの歌を聞くのが好きですよ」などと自分の話にもっていこうとするかもしれない。だがこれではうまくいかない。
なぜなら、相手に自分の話をさせていないからだ。相手はコブクロについて話したいことがあったから、その話をはじめたのだろう。それなのに、聞き手が話題を奪ってしまい、自分の話ができなくなってしまっている。
こうした相手の気持ちに気づけないと、話は決して盛り上がらない。まずは相手の気持ちを慮り、受けとめよう。
人が話をするとき、聞き手に求めているのは「反応」だ。聞き手が反応してくれないと、話し手はどんどん話しづらくなる。
まずは「うなずき」を意識しよう。聞き上手な人は、話し手の気持ちの変化に合わせて、ゆっくりうなずいたり、強く短くうなずいたりと、変化をつけている。話し手にとっては、熱心に聞いてくれているように感じられて、もっと話したくなるだろう。
「話が続かない」と悩む人は、まず「反応」のしかたを見直してみてほしい。話が続かないのは、話題がないせいではなく、「反応」がまずかったからかもしれない。
会社の同僚から「昨日は定時で帰れると思ったら、課長につかまって3時間も残業だよ」と言われたら、あなたはどんな言葉を返すだろうか。「どんな仕事だったのか」「その日はなにか用事があったのか」「抜け出す口実はなかったのか」などと、話を前に進める質問をするのは、少し待ってほしい。
聞き上手な人はここで「相手の気持ち」に焦点をあてる。なぜなら、聞き手が一番わかってほしいのは「出来事のあらまし」ではなく「そのときの気持ち」だからだ。
まずは相手の気持ちが「プラス」なのか、「マイナス」なのかを想像してみよう。プラスならプラスの反応をし、マイナスならマイナスの反応をする。この場合は「わー」「うわっ」とマイナスの反応をするのが正解だ。
「聞き上手は質問ができる人」と考えている人もいるだろう。だが本当の聞き上手は、質問より「待つこと」を優先する。なぜなら「質問」は、質問者の「聞きたいコース」に話し手を誘導するものであり、「話し手」の「話したいコース」から外れてしまう可能性があるからだ。
同僚が「昨日は定時で帰れると思ったら、課長につかまって3時間も残業だよ」と言ってきたとき、「どんな仕事だったの?」と質問したら、
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