スーパープレイだけでなく、人柄でも人々を魅了する、大谷翔平選手。大谷選手はかつて、超一流ピッチャーから1試合で3三振を喫したことがあった。試合後、大谷選手は「こんなに速くて品のあるボールは経験したことがありません」と感想を述べた。
多くの人はこんなとき、自分を主人公にして話しがちだ。「今日は振りが鈍かった」「今度は打ってみせる」「もっと練習したい」といった感想が一般的だろう。ところが大谷選手は、まず相手投手へのリスペクトを示したのだ。本書で取り上げるのは、大谷選手のように人から愛され、尊敬されるコミュニケーションの秘訣だ。
本書で伝授するスキルは「相手を主人公にした話し方」である。まずは相手を思うこと。そして相手を話題の中心に据え、問いかけるのだ。
たとえば「車を買ったよ」と話す相手に対して、あなたはなんと言葉をかけるだろうか。車種や燃費を尋ねる質問は「もの(車)」主人公の話し方、「自分も買い換えようと思っている」は「自分」主人公の話し方だ。相手も自分も楽しく会話ができるのは、「いいね! 車があると楽しいことが増えるね」といった、「相手」を主人公にした話し方である。
人間は誰でも「自分の話に興味を持ってほしい」「共感しながら聞いてほしい」「肯定的に受け止めてほしい」と思っている。会話によってこの3つの欲求を満たせば、あなたがうまく話せなかったとしても、相手は上機嫌で話してくれるだろう。話がはずみ、相手はあなたを自然と好きになって、また会いたいと思ってくれる。
著者はあるとき、長年お付き合いのある不動産開発会社の社長から「入社以来受注ゼロの営業社員がいるので、指導してほしい」と依頼を受けた。その会社のビジネスは、掘り出し物の不動産を見つけて、そこにホテルやマンションを建て、付加価値を付けて売ることだ。だから営業社員は、掘り出し物の物件が出た時に、取引先の不動産会社の経営者や担当者から「これは〇〇会社の××クンに回してあげよう」と思ってもらえるような関係を築く必要がある。
ところがその営業社員は口ベタで、せっかく取引先を訪ねても、一通りの説明しかできていなかった。これでは受注ゼロでも仕方ない。そこで著者はたった一つ、「とにかく相手を主人公にして話すこと」だけを指導した。
具体的には、営業先の社長に、社長自身や会社についての質問をして、話を聞かせてもらうこと。そして、帰社してから
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