著者は新型コロナ禍がGAFA+Xなどの大企業に有利に働くと確信している。パンデミック発生後、主要な株価指数(NYダウ、S&P500、ナスダック総合)は一時的に急落した後、急速に上昇した。この現象は上場銘柄の幅広い状況を反映しているわけではない。GAFAに代表されるビッグテックや少数の企業が莫大な利益をあげたためだ。
新型コロナは多くの業界で分散化を加速させている。アマゾンによって店舗の軒先は自宅の玄関先まで拡大し、ネットフリックスは映画館をリビングに持ち込んだ。リモート診療が進む医療やオンライン販売が普及した飲食業界でも同様の現象が見られる。
またテレワークへの移行により仕事の分散化も進んでいる。富裕層は家庭内オフィスなどロックダウン中も稼げる手段を持ち合わせている。一方、労働者階級の大半は倉庫や店といった職場に縛られ、家で仕事ができる人も快適な環境を用意できる例は少ない。富裕層と労働者階級との職場環境の差は歴然だ。
かつて市場平均を上回る利益をあげられるかどうかは、圧倒的なブランド・アイデンティティの確立にかかっていた。インターネットが登場する以前は、テレビやラジオの広告を使い、平凡な製品を漠然としたイメージで売り込むだけでよかったのだ。
ブランドで売る時代は終焉した。これまで人種差別など米国の「罪」が明るみになったとき、ブランド企業は人目を引く映像や黒で塗りつぶした画面を作成して発信してきた。
いま、その行為は共感を得られなくなっている。アクティビストや消費者は、インターネット検索やソーシャル・メディアを駆使し、企業のブランドメッセージと現実の経営を比較し始めた。企業は「真剣なふりをする」ことが難しくなっているのだ。
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