こうして社員は、やる気を失っていく

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こうして社員は、やる気を失っていく
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こうして社員は、やる気を失っていく
出版社
日本実業出版社

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出版日
2022年05月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

やる気は「出せ」と言われて出るものではないが、やる気を下げる要因は職場にこれでもかと転がっている。新しい提案をしたら「いつも、こうしているから」と断られる。「とにかく言う通りにやって」とやり方を押しつけられる。トラブルが起きると「なんでいつもそうなんだ」と責められる。「人事が天職だと頑張っていたのに、今さら経理なんて」と不可解な辞令がある。どれも考えただけでやる気がごっそりと削られてしまいそうだ。

自分がこんなことをされたらやる気を失ってしまうだろうと容易に想像がつく。ところが、いざ自分が他者のやる気を引き出さなければならない立場に立ったとき、無意識のうちにこんな言動をしてしまってはいないだろうか。いくらモチベーションを上げるための取り組みをしたところで、やる気を下げる要因が日常的にあるならば、社員のやる気はどんどん下がってしまう。

本書は、職場で起きがちなやる気喪失エピソードを紹介するとともに、組織を率いるリーダー側の視点からそれらを改善する方法を指南している。人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタントを行なってきた著者は、本書でも心理学的な知見にもとづいた解決策をわかりやすく解説している。

職場に漂うやる気のないムードを打破したい。チームメンバーや部下のやる気を引き出したい。そんなときには本書がきっと役に立つことだろう。これからリーダーになろうとする人にもおすすめだ。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

松岡保昌 (まつおか やすまさ)
株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。1963年生まれ。1986年同志社大学経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』『Works』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍後、2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として逆風下での広報・宣伝の在り方を見直し新たな企業ブランドづくりに取り組む。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長としてCIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。また、AFPBB News編集長として、インターネットでの新しいニュースコミュニティサイトを立ち上げる。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、個人のキャリア支援や企業内キャリアコンサルタントの指導育成、企業内キャリアコンサルティングの普及にも力を入れている。著書『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    やる気は個人ではなく職場の問題だ。人の気持ちを理解しない上司の対応や組織の制度といった「やる気を下げる要因」を取り除けば、やる気は勝手に上がっていく。
  • 要点
    2
    企業文化には、人を同じ考えに染め、似た人を引き寄せる力がある。このため「やる気のある集団」と「やる気のない集団」の二極化が進み、企業力の格差へとつながっている。
  • 要点
    3
    会社は一人ひとりの社員から成る。個人が仕事に意義を感じられるからこそ、主体的に本気で取り組むことができる。組織が個人の幸せを意識することが、会社の強さへとつながっていく。

要約

【必読ポイント!】「やる気」が企業の差になる時代

「やる気を下げる要因」を取り除く

環境の変化が激しい現代、企業力の格差が広がっている。原因は社員のモチベーションの差にあることが多い。

多くの企業はモチベーションを高めることに意識が向きがちだ。それはもちろん大事な取り組みだが、無意識のうちに職場でモチベーションを下げるようなことが日常的に行われているとしたら、取り組みの意味はなくなってしまう。まずはモチベーションを下げる要因=「やってはいけないこと」をしないようにすることのほうが重要だ。どんなときに社員のやる気が下がるかを知り、改善策を実行すれば、職場の雰囲気はあきらかに変わる。

本書は、多くの会社の経営や組織風土の改革を行なってきた著者が、実践家ならではの知恵とノウハウをまとめた一冊だ。「やる気」は個人の問題ではなく、職場の問題だ。上司や周囲との関わり、「人の気持ち」を理解しない対応や会社の制度・処遇などの影響でやる気を失うケースは少なくない。周囲との関係で下がったやる気は職場全体の課題と受け止めて解決しない限り、やる気が下がる社員は出続ける。やる気を下げる要因を取り除けば、勝手にやる気は上がっていく。

やる気のない人が集まる負のスパイラルを断ち切る
piranka/gettyimages

社員のモチベーションを高めることは、生産性を高め、利益を上げるだけでなく、企業文化の創出につながる。企業文化には、違うタイプの人も同じ考えや行動に染める力と、似たタイプの人を引き寄せる力がある。良くも悪くも、会社には企業文化にふさわしい人たちが集まり、残っていく。

モチベーションの高い集団は「やる気に満ちた人」たちを引きつける。一方、モチベーションの低い集団は「やる気に満ちた人」を排除する。やってもやらなくても評価が変わらない環境では、やる気のある優秀な人ほど虚しさを感じて辞めてしまう。モチベーションの高い前向きな人を採用しても、辞めてしまうか、やる気のない人たちのカラーに染まってしまうかだ。この繰り返しで、会社にいる人たちは言われたことをこなすだけの受け身の集団になる。

こうして、「やる気のある集団」と「やる気のない集団」の二極化が進んでいく。もしも自分の会社が負のスパイラルに陥っているなら、一刻も早く断ち切らなければならない。モチベーションに対する取り組みは、「企業力」へと直結していく。

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要約公開日 2022.07.13
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