商談や案件は、難易度によって「楽勝」「接戦」「惨敗」の3つに分けられる。
受注が易しいのは「楽勝案件」だ。予算を確保したお客さまが自社だけに声をかけてくれているケースや、長年の付き合いがあるお客さまに提案するケースなど、誰が対応しても受注できる案件である。
「接戦案件」は、コンペや相見積もり提案、稟議が通るかわからないものなど、受注も失注もあり得るものだ。営業としての手腕が問われる案件だといえる。
「惨敗案件」は、誰が担当しても受注が難しい案件だ。競合が圧倒的有利で、相見積もりを取るための「当て馬」になってしまうケースも少なくない。
これら3つのうち、リソース次第で受注率が大きく変わるのは接戦案件だ。お客さまが何と何で迷っているのかを具体的に把握し、自社が選ばれる理由を作って、接戦を勝ち抜こう。
接戦状況になると、お客さまは「この提案を採用したい」「でも、決めるのは怖い」などと迷うものだ。そして決断しかねて、「もう少し考えてお返事します」「社内で検討します」と判断を後回しにする。
一方で、営業は「すぐに決めてもらいたい」と考えがちだ。多くの場合、値引きによってお客さまの判断を後押ししようとする。
だが「お客さまは価格で決める」と思い込んでしまうと、接戦を勝ち抜く力が身につかない。接戦で強くなるには、迷っているお客さまに対して「どんな情報を追加すると決めていただけるのか」の勝ちパターンを増やしていく必要がある。
そこで登場するのが「接戦を制する3つの質問」だ。
「接戦を制する3つの質問」の1つ目は「接戦状況を問う質問」だ。この質問を通して、接戦の内容や状況を把握する。
案件が発生したら、お客さまに「今回は、弊社が提案をお出ししたら、社内ですぐ、ご判断されるような感じでしょうか」と聞いてみよう。あっさり決まりそうだと言われたら、楽勝か惨敗の可能性が高い。
難しいのは、質問への答えがYesでない、接戦の場合だ。そのときは「何がネックになっているのか」を聞こう。「競合を選ぶか迷っている」「保留にするか迷っている」「内製するか迷っている」の3つのパターンがある。
どのパターンかをつかんだら、最後にBANTCHをヒアリングし、自社の提案が稟議に通るための条件を確認する。BANTCHとは、予算(Budget)、決裁者(Authority)、ニーズの抜け漏れや優先順位(Needs)、検討や導入のスケジュール(Timing)、競合(Competitor)、お客さま側の人員体制(Human Resources)の6つの要素のことだ。
「接戦を制する3つの質問」の2つ目は、接戦の結果が決まったあとに、どの瞬間に答えが出たのかを確認する「決定の場面を問う質問」だ。この質問への答えは、今後の営業活動のヒントになる。
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