本書は、ビジネスマンとして成功をおさめた著者、カーライル・グループの共同創設者兼共同会長であるデイヴィッド・ルーベンシュタインが、各界のリーダーたちにインタビューを行うTV番組の内容を書き起こしたものである。原書タイトルは『HOW TO LEAD』だ。
この番組には、アメリカの政界や経済界、あるいは国際機関、そしてスポーツ選手や音楽家まで、様々な分野のリーダーが登場する。著者はインタビュアーとして「リーダーシップとはなにか」といった質問を投げかけ、ゲストは自身のエピソードを踏まえてそれに答えるスタイルの番組だ。
本書ではTV番組のゲストの中から、選りすぐりの31人のインタビューが取り上げられている。各人の来歴や価値観、職業倫理など幅広いテーマに及び、回答は31人31様だ。31人のインタビュイーは、以下の6つのカテゴリーに分類されている。「1. ビジョンを持つ」「2. 構築する」「3. 変革する」「4. 統括する」「5. 決定する」「6.道を究める」だ。要約では各章から1人ずつ紹介する。
長い間、多くのリーダーにインタビューを行ってきた著者には独自のリーダー論がある。
まず人生を3つの時期に分けて考える。最初の3分の1は「将来に向けた教育・訓練期間」であり、次の3分の1が「自らのキャリアを築くことを念頭にスキルを磨き、責任のある何らかの立場につく」時期だ。そして最後の3分の1がこれまでの功績に対して、「経済的または精神的な見返りなどの社会的な恩恵を享受する」時期としている。
人生の第1段階でリーダーシップを取るよりも、第2段階、第3段階のリーダーシップを取るほうが、その人自身にとっても、社会にとっても重要であると断言している。
著者自身も第2段階、第3段階でリーダーになることができたと振り返っている。その要因は、番組でインタビューした人たちが答えるのと同様のものばかりだという。すなわち、「運をつかむ」「成功を強く願う」「新しい、独自なものを追求する」「長い時間、懸命に働く」「集中する」「失敗を前向きにとらえる」「粘り強く取り組む」「説得力をもって話をする」「控えめに振る舞う」「仕事の成果を分かち合う」「学び続ける姿勢をもつ」「誠実であれ」「危機に立ち向かう」の13項目である。
著者のこういった整理を踏まえて各インタビューを読むことで、個々のインタビューの共通点、あるいは相違点により気付きやすくなり、リーダーそれぞれの考えを深く知ることができよう。
ジェフ・ベゾスは、1994年にアマゾンを創業した人物である。世界長者番付で第一位になったこともある。
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