因数分解思考

あらゆる悩みを自分で解決!
未読
因数分解思考
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未読
因数分解思考
出版社
出版日
2022年05月14日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

かわいいパンダの動画を見ながら眠りについた翌朝、日本語を話すパンダが自分の部屋にあらわれた――。そんなワクワクするようなシーンからはじまる本書のテーマは「因数分解思考」だ。

数学は得意・不得意が分かれる教科である。「因数分解」と聞いて、「自分には無理では」と感じる人もいらっしゃると思う。要約者もその一人だが、本書はそんな人にも自信を持ってお勧めしたい。実生活ですぐに使えるメソッドを、ストーリー形式で楽しく学べるからだ。

本書は因数分解の考え方を使ってあらゆる悩みを解決する本である。悩みはモヤモヤとしていて、つかみどころがない。因数分解思考では、そんな悩みを明確に定義して小さい要素に分解し、具体的な解決方法を探っていく。

主人公は、28歳のパンダ好き会社員・美咲。そんな美咲に因数分解思考を教えてくれるのは、“パンダの惑星”からやってきたパンダ・レイレイだ。美咲が抱えるキャリアや恋愛の悩みを、レイレイは因数分解思考を用いてサクサク解決する。難しい式は一切出てこないので、数学が苦手な人でも楽しく読み進められるだろう。ほのぼのとしたふたりのやり取りに癒やされながら悩みを解決できるという、なんともお得な一冊である。まずは気軽にページを開いて、レイレイ先生の講義を受けてみてはいかがだろうか。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

深沢真太郎(ふかさわ しんたろう)
深沢真太郎=数学×教える専門家×10年以上の会社員経験
ビジネス数学教育家/理学修士(数学)/BMコンサルティング株式会社 代表取締役/一般社団法人日本ビジネス数学協会 代表理事
1975年神奈川県生まれ。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。数学を用いた論理的思考力をビジネスに活かす「ビジネス数学」教育の第一人者。指導者数は、延べ1万人以上にのぼる。
国内初の「ビジネス数学検定」最高ランクの1級AAA認定者であり、国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクターでもある。予備校講師から外資系企業の管理職などを経て、ビジネス研修講師として独立。SMBCコンサルティング株式会社や三菱UFJ、みずほ総合研究所などの大手企業から、早稲田大学や産業能率大学などの教育機関における研修・講座に登壇、プロ野球球団やトップアスリートの教育研修も手がける。2018年に「ビジネス数学インストラクター制度」を立ち上げ、指導者育成にも従事している。
著作は『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(日本実業出版社)、『数学的に考える力をつける本』(三笠書房)、『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)など、国内累計25万部超。テレビ番組の監修やラジオ番組のニュースコメンテーターなども務める。

★ビジネス数学.com~ビジネス数学教育者・深沢真太郎の公式HP~
https://www.business-mathematics.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    因数分解思考とは、悩みを小さな要素に分解する思考法だ。悩みの構成要素がわかれば、おのずと解決策が見えてくる。
  • 要点
    2
    悩みの解決は5つのステップで行う。(1)悩みを具体的に定義する、(2)悩みのメカニズムを明らかにする、(3)悩み解決のための「仮の正解」を決める、(4)「仮の正解」に対する具体的な行動を決める、(5)実践する、だ。
  • 要点
    3
    「仮の正解」を決めるためには、四則演算(+-×÷)や矢印(→)が有効だ。
  • 要点
    4
    悩みを数値化することで、適切な解決方法が見つかりやすくなる。

要約

「悩みを解決できない」という悩みを解決する

悩みを数学で解決するパンダ・レイレイとの出会い

化粧品メーカーに勤める美咲は28歳。仕事はそれなりに充実しているものの、これからのキャリアに不安を感じてもいた。

そんな美咲は3歳年上の兄・和也に相談を持ちかける。「このまま今の会社にいたほうがいいのか、思い切ってキャリアチェンジしたほうがいいのか」。美咲は子供の頃から、何かあると必ず和也に悩みを相談してきた。仕事でもプライベートでも、自分で考えて行動したり、物事を決めたりするのが苦手なのだ。しかし、和也から「美咲はそろそろ自分で答えを出すことを覚えたほうがいいかもしれないな」と言われ、すっかりテンションが下がってしまった。

翌朝、美咲が起きると、目の前にかわいらしいパンダが座っていた。レイレイと名乗るそのパンダは、“パンダの惑星”からやってきたという。普段は学習塾で数学を教える傍ら、時折地球にやってきて、悩みがある人をサポートしているそうだ。

「ボクでよければ美咲さんを個別指導します。だからここに住まわせてください」というレイレイに、美咲は戸惑いながらも承諾。もともとパンダが大好きで、パンダ動画を見るのが寝る前のルーティンになっているほどなのだ。こうして美咲とレイレイの共同生活が始まった。

悩みは「引き算」である

さっそくレイレイの講義が始まり、唐突に「悩みの定義を教えてください」と言われて戸惑う美咲。レイレイは悩みを「理想と現実のギャップ」と定義した。

たとえば、人間関係に悩みがある人には、理想とする人間関係があるはずだ。あるべき姿と現実の間にギャップがあって嬉しくない、楽しくない、ツラい。だから悩むのである。

悩みを定義すると、悩みを解決するためには2つの情報が必要なことがわかる。「理想は何か」と「現実は何か」だ。ダイエットであれば、今の体重(現実)と理想の体重の2つ。今の美咲の体重は53kgであるが、50kgくらいに落としたいから、ギャップは3kgだ。

一方、もし現実が60kgだとしたら、理想と現実のギャップは10kgとなる。3kg痩せるのと10kg痩せるのでは、ダイエットの仕方が変わってくる。つまり、ギャップ(悩み)が違えば解決方法も変わるのだ。

レイレイは「みんな悩んでいるって言うけど、悩みを具体的に表現できていないケースが多い」という。そして「悩みは引き算だと思う」と、次の式を書いた。

(悩み)=(理想)―(現実)

イコールの左側、つまり(悩み)をゼロにするのが「悩みを解決すること」だ。

悩みを解決する5つのステップ
あさ出版提供

レイレイは美咲に「子供の頃に悩んでいたことの解決法を考える」という練習問題を出した。美咲は少し考えて、小学生の頃の「クラスの男子と仲良くなるのが苦手」という悩みを次のように表現した。

(悩み:男子15人と仲良くなれていない)=(理想:男子20人と仲良くなる)-(現実:男子5人と仲良し)

次に、この悩みが生まれるメカニズムを明らかにする。思い返すと、仲良くなれた5人はみんな元気でスポーツが得意な、自分と似たタイプ。残りの15人は大人しかったり勉強ができたりする、自分と異なるタイプの男子だった。つまり、悩みを解決するには自分と異なるタイプの男子と仲良くする必要があり、そのためのアクションを考えなければならない。美咲は「親近感を持ってもらえるよう、優しく自分から話しかける」という解決法を挙げた。

以上から、悩みを解決するためのステップは5つとなる。

(1)悩みを具体的に定義する(男子15人と仲良くなれていない)

(2)悩みのメカニズムを明らかにする(仲良し5人は自分と似たタイプ、仲良くなれていない15人は自分と異なるタイプ)

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要約公開日 2022.08.10
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