化粧品メーカーに勤める美咲は28歳。仕事はそれなりに充実しているものの、これからのキャリアに不安を感じてもいた。
そんな美咲は3歳年上の兄・和也に相談を持ちかける。「このまま今の会社にいたほうがいいのか、思い切ってキャリアチェンジしたほうがいいのか」。美咲は子供の頃から、何かあると必ず和也に悩みを相談してきた。仕事でもプライベートでも、自分で考えて行動したり、物事を決めたりするのが苦手なのだ。しかし、和也から「美咲はそろそろ自分で答えを出すことを覚えたほうがいいかもしれないな」と言われ、すっかりテンションが下がってしまった。
翌朝、美咲が起きると、目の前にかわいらしいパンダが座っていた。レイレイと名乗るそのパンダは、“パンダの惑星”からやってきたという。普段は学習塾で数学を教える傍ら、時折地球にやってきて、悩みがある人をサポートしているそうだ。
「ボクでよければ美咲さんを個別指導します。だからここに住まわせてください」というレイレイに、美咲は戸惑いながらも承諾。もともとパンダが大好きで、パンダ動画を見るのが寝る前のルーティンになっているほどなのだ。こうして美咲とレイレイの共同生活が始まった。
さっそくレイレイの講義が始まり、唐突に「悩みの定義を教えてください」と言われて戸惑う美咲。レイレイは悩みを「理想と現実のギャップ」と定義した。
たとえば、人間関係に悩みがある人には、理想とする人間関係があるはずだ。あるべき姿と現実の間にギャップがあって嬉しくない、楽しくない、ツラい。だから悩むのである。
悩みを定義すると、悩みを解決するためには2つの情報が必要なことがわかる。「理想は何か」と「現実は何か」だ。ダイエットであれば、今の体重(現実)と理想の体重の2つ。今の美咲の体重は53kgであるが、50kgくらいに落としたいから、ギャップは3kgだ。
一方、もし現実が60kgだとしたら、理想と現実のギャップは10kgとなる。3kg痩せるのと10kg痩せるのでは、ダイエットの仕方が変わってくる。つまり、ギャップ(悩み)が違えば解決方法も変わるのだ。
レイレイは「みんな悩んでいるって言うけど、悩みを具体的に表現できていないケースが多い」という。そして「悩みは引き算だと思う」と、次の式を書いた。
(悩み)=(理想)―(現実)
イコールの左側、つまり(悩み)をゼロにするのが「悩みを解決すること」だ。
レイレイは美咲に「子供の頃に悩んでいたことの解決法を考える」という練習問題を出した。美咲は少し考えて、小学生の頃の「クラスの男子と仲良くなるのが苦手」という悩みを次のように表現した。
(悩み:男子15人と仲良くなれていない)=(理想:男子20人と仲良くなる)-(現実:男子5人と仲良し)
次に、この悩みが生まれるメカニズムを明らかにする。思い返すと、仲良くなれた5人はみんな元気でスポーツが得意な、自分と似たタイプ。残りの15人は大人しかったり勉強ができたりする、自分と異なるタイプの男子だった。つまり、悩みを解決するには自分と異なるタイプの男子と仲良くする必要があり、そのためのアクションを考えなければならない。美咲は「親近感を持ってもらえるよう、優しく自分から話しかける」という解決法を挙げた。
以上から、悩みを解決するためのステップは5つとなる。
(1)悩みを具体的に定義する(男子15人と仲良くなれていない)
(2)悩みのメカニズムを明らかにする(仲良し5人は自分と似たタイプ、仲良くなれていない15人は自分と異なるタイプ)
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