プロ投資家の先の先を読む思考法

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2022年05月11日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「未来を知りたい」

そう考えたことは誰しもあるはずだ。コロナ禍で先がますます見えなくなっている昨今、切実にそう思った人は多いだろう。

「未来を予測することは、ある程度可能である」というのが本書の著者だ。ファンドマネージャーとして32年以上の投資経験を重ねてきた藤野英人氏である。目の前で起きている小さな変化を捉えて、10年後、20年後にどんな結果が待っているかを考えるというのが、その方法だ。

未来を予測する方法は本書でトランプの神経衰弱にたとえられている。手元にあるカードや、すでに開かれているカードから、まだ裏返しのままのカードが何かを予測する。もちろん、トランプと違って現実では予想外のことが起こる。その都度、予測を修正していくことが大切だ。

著者は繰り返し、あらゆる方法で自分をアップデートさせることの重要性を訴えている。自分の力ではどうにもできないこともある。そうであれば、周りの力を上手に借りればよい。そのキーとなるのは、これからを担う若い世代だ。

本書は、先入観に縛られて正しい判断ができないとき、目の前で起きているのに気づけないとき、必要な情報の集め方を教えてくれる。その裏には、投資のプロとして、「ポジティブ」に現実を捉え、また変えようとする思いの強さがある。

先行き不透明な昨今、未来が「不安」から「明るい希望」に変わる一冊だ。

ライター画像
中山寒稀

著者

藤野英人(ふじの ひでと)
投資家・ひふみシリーズ最高投資責任者。
レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長。
1966年富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授。一般社団法人投資信託協会理事。
主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    少子高齢化や空き家問題など、日本は多くの課題を抱えている。それらを解決するための商品、サービスを提供することで、大きく成長する会社が現れるはずだ。
  • 要点
    2
    未来を予測することは、トランプの神経衰弱に似ている。場に出ているカードや手元のカードから、これからなにが起こるのかを考える。
  • 要点
    3
    先の先を読むためには、情報収集と多角的な思考が必要である。
  • 要点
    4
    今後は、自分たちにとってのウェルビーイングを提示できた会社が高く評価される。

要約

未来は予測できる

先の先を読むメリットとは?
Warchi/gettyimages

10年後のことを一部でも正確に知ることができたら、かなりのお金持ちになれるだろう。実は、未来を予測することは可能である。

「投資家の先読み」でイメージするのは、株価の予測や特殊な情報収集法だろう。しかし、株価は実績とかけ離れて動くこともめずらしくないので、目先の数字を読み切って勝つことは難しい。それに、情報開示には高い透明性が求められ、プロの投資家であっても「おいしい早耳情報」は得られない。

「目の前で少しずつ起きている小さな変化を捉える」。それが少し先の未来にどう変化していくかを考えることが大切だ。未来の社会を見据え、どんな企業が成長していくかを読むことで、長期投資により資産を大きく増やすことが可能になる。

そして、先の先を読める人は、「自分の居場所」を間違えない。

日本は、少子高齢化や認知症の高齢者の増加、空き家問題などのさまざまな課題があふれる「課題先進国」だ。そこには、経営者から現場まで昭和の価値観で生きている「昭和97年型」の会社だけでなく、新しい価値観や最先端の技術を前提とした「令和4年型」の会社もある。課題を解決するための商品、サービスを提供することで大きく成長する会社が今後も現れるはずだ。

こういった状況の中で、自分の居場所をどこに定めるかによって、これからの20年間、「右肩上がりの人と右肩下がりの人に、ほぼ二分される」可能性が高い。

【必読ポイント!】 「今」を正確に知る

未来の予測は神経衰弱

未来予測の方法として著者がイメージしているのは、トランプの神経衰弱だ。「めくられていないトランプのカードがたくさん並んでいる状態」が未来である。情報を得ることで1枚ずつめくられていく。すでに場に出ているカードや手元のカードから、自分の周囲になにが起きるのかを考える。ゲームとは異なり、現実では大きな事故やパンデミックなどの不確定要因の影響で、予測を修正していく必要がある。

「先の先を読む思考力」は、闇の中にいるようなものだ。それでも、いくつかの光の筋を重ね合わせることで、「ほぼ確実な未来」や「起きるかもしれない未来」を見つけ出せる。

未来を予測するために努力し続ける人は、努力もせずいきあたりばったりで生きる人より、ビジネスや投資だけでなく趣味の世界でも成功しやすいはずだ。

中長期の株価は予想できる

自然災害や政治家の発言などの外部要因により大きく動くため、短期的な株価の動きの正確な予測は難しい。半年後の株価の動きは、プロでも予想ができない。一方で、2年後などの長期の株価は、ある程度の予測が可能だ。

「株価=EPS(1株当たり利益)×PER(株価収益率)」である。

PERが影響を受けるのは、金利や為替、市況などの外部要因や銘柄の人気である。EPSは企業の情熱や工夫、頑張りで変えられる。

株価は中長期ではEPSに連動する。2、3年のスパンで見ると、利益が2倍になった会社の株価はおおむね2倍になり、逆に3分の1になった会社では株価もおよそ3分の1になる。株式市場は、企業業績にコミットしているのだ。

したがって、株価の「先の先を読む」方法はとてもシンプルである。企業の利益は主に、顧客数の増加や値上げの成功によって増える。だから、株式投資では「長期で投資することが大事」だと言われるのだ。

株式市場で絶対に勝つ法則
nespix/gettyimages

たった一つだけ、「株式市場で絶対に勝つ法則」がある。

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要約公開日 2022.08.18
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