10年後のことを一部でも正確に知ることができたら、かなりのお金持ちになれるだろう。実は、未来を予測することは可能である。
「投資家の先読み」でイメージするのは、株価の予測や特殊な情報収集法だろう。しかし、株価は実績とかけ離れて動くこともめずらしくないので、目先の数字を読み切って勝つことは難しい。それに、情報開示には高い透明性が求められ、プロの投資家であっても「おいしい早耳情報」は得られない。
「目の前で少しずつ起きている小さな変化を捉える」。それが少し先の未来にどう変化していくかを考えることが大切だ。未来の社会を見据え、どんな企業が成長していくかを読むことで、長期投資により資産を大きく増やすことが可能になる。
そして、先の先を読める人は、「自分の居場所」を間違えない。
日本は、少子高齢化や認知症の高齢者の増加、空き家問題などのさまざまな課題があふれる「課題先進国」だ。そこには、経営者から現場まで昭和の価値観で生きている「昭和97年型」の会社だけでなく、新しい価値観や最先端の技術を前提とした「令和4年型」の会社もある。課題を解決するための商品、サービスを提供することで大きく成長する会社が今後も現れるはずだ。
こういった状況の中で、自分の居場所をどこに定めるかによって、これからの20年間、「右肩上がりの人と右肩下がりの人に、ほぼ二分される」可能性が高い。
未来予測の方法として著者がイメージしているのは、トランプの神経衰弱だ。「めくられていないトランプのカードがたくさん並んでいる状態」が未来である。情報を得ることで1枚ずつめくられていく。すでに場に出ているカードや手元のカードから、自分の周囲になにが起きるのかを考える。ゲームとは異なり、現実では大きな事故やパンデミックなどの不確定要因の影響で、予測を修正していく必要がある。
「先の先を読む思考力」は、闇の中にいるようなものだ。それでも、いくつかの光の筋を重ね合わせることで、「ほぼ確実な未来」や「起きるかもしれない未来」を見つけ出せる。
未来を予測するために努力し続ける人は、努力もせずいきあたりばったりで生きる人より、ビジネスや投資だけでなく趣味の世界でも成功しやすいはずだ。
自然災害や政治家の発言などの外部要因により大きく動くため、短期的な株価の動きの正確な予測は難しい。半年後の株価の動きは、プロでも予想ができない。一方で、2年後などの長期の株価は、ある程度の予測が可能だ。
「株価=EPS(1株当たり利益)×PER(株価収益率)」である。
PERが影響を受けるのは、金利や為替、市況などの外部要因や銘柄の人気である。EPSは企業の情熱や工夫、頑張りで変えられる。
株価は中長期ではEPSに連動する。2、3年のスパンで見ると、利益が2倍になった会社の株価はおおむね2倍になり、逆に3分の1になった会社では株価もおよそ3分の1になる。株式市場は、企業業績にコミットしているのだ。
したがって、株価の「先の先を読む」方法はとてもシンプルである。企業の利益は主に、顧客数の増加や値上げの成功によって増える。だから、株式投資では「長期で投資することが大事」だと言われるのだ。
たった一つだけ、「株式市場で絶対に勝つ法則」がある。
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