部下・後輩・年下と話すのは難しい。目上の人には失礼のないように敬語で話せばいいし、同期や同い年とは気楽に話せる。ところが、部下・後輩・年下となると、とたんにうまく話せなくなったり、トラブルになってしまったりすることがあるだろう。
「下」との話し方がうまくいかない人は大きく2つのタイプに分類される。
1つ目は「気をつかいすぎ」タイプだ。普段から相手の反応を気にしている人は、「下」と話すときには「『偉そう』と思われたくない」「ウザがられたくない」「嫌われたくない」などとますます気をつかう。結果として、「どう話せばいいかわからない」「指示がうまく伝わらない」と悩むことになる。
2つ目は「気をつかわなさすぎ」タイプだ。普段から相手の反応を気にしない人は、「下」と話すときにはますます気をつかわない。「どう思われようと気にならない」「優しくしてなめられたくない」「無理して好かれようとは思わない」と、乱暴な言い方や失礼な発言をした結果、ハラスメントや炎上につながることさえある。
必要なのは「ちょうどよく気をつかう」ことだ。威圧的になるでも媚びるでもなく、ひとりのオトナとして「下」に接すること。本書を通して目指すのは「凝り固まった上下関係に縛られない、対等な個人同士のフェアで気持ちのいい信頼関係」である。
部下や後輩、年下と話すとき、「下っ端なんだから」「先輩が後輩に」などと、「上下関係」を強調する人がいる。「下」が「上」のために動くのは当然、「下」に言って聞かせるのが「上」の役目……。この考え方は“不正解”だ。
上司・部下は、身分の上下ではなく、単なる仕事上の指示系統・役割であると認識しよう。上下関係を意識しすぎず、「失礼なことは言わない」「乱暴な言い方はしない」「当然のように雑用をさせない」といったごく常識的なことに気をつけ、あくまで対等に接するべきだ。
「下」の人とエレベーターで一緒になったときや飲み会で同じテーブルになったとき、相手から話しかけられるのを待っていないだろうか。グイグイと話しかけては相手も緊張するだろうし、「ウザい」「イタい」と思われたくない……そんな気持ちがあるのかもしれない。
だが、その状況に困っているのは「下」も同じだ。このような場面では、経験と余裕がある「上」から積極的に話しかけるようにしたい。
部下・後輩・年下から声をかけられて、無愛想に「何?」と返事をするのはNGだ。そのつもりはなくても、相手にプレッシャーをかけてしまう。
返事をするときは、機嫌よく、笑顔での対応を心がけること。「はい!」と元気のいい返事をすれば、気持ちのいいフラットな関係が築けるだろう。
部下・後輩・年下に注意するとき、「嫌われるのではないか」「気まずくなるのを避けたい」という気持ちから、遠回しにさりげなく注意しようとする人がいる。だがこれは逆効果だ。相手は要領を得ない話にうんざりし、あなたを「ネチネチした人」と思うだろう。
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