ビットコインやブロックチェーンの話題が毎日のように飛び交っている。クレジットカードや決済アプリがあるにもかかわらず、なぜ暗号資産が広まっているのだろうか。
暗号資産とは、暗号技術を使い、インターネット上でやりとりできる財産的価値をもつものである。そのメリットは、決済の速さや匿名性にある。クレジットカードは入金まで数週間かかるが、ビットコインという暗号資産なら数秒~数分で決済できる。金融機関に依存せず、お金のやりとりが成立するため、個人がお金の主権をもてるようになるのだ。
これまでは銀行などの管理者が取引履歴を一括管理して、その信頼性を担保していた。今後は、ビットコインを支える技術基盤であるブロックチェーンによって、取引履歴を関係者が互いにチェックして信頼性を担保する「分散型の台帳」が実現できる。1980年代にインターネットの価値を理解していた人はほとんどいなかったが、今では大多数の人がその価値を理解し、日々利用している。同様に10~20年後、ビットコインやブロックチェーンが分散型の金融システムを形成し、多くの人が利用する未来がありえるわけだ。
1882年に日本銀行が設立された。中央銀行の歴史は140年しかない。一方、流通通貨は708年に和同開珎が作られて以来、1300年の歴史をもつ。お金は本来、中央銀行が発行する必要はない。国家や中央銀行の保証や信用がなくとも成立するのだ。
そもそもお金の役割とは何だろうか。お金には交換・取引手段、会計・計算の単位、価値の保存手段という3つの役割がある。交換・取引手段としての暗号資産は、決済が早く、手数料が安く、匿名が可能で誰も妨害できないといったメリットがある。そのため暗号資産での決済が増えるだろう。
また、お金は会計・計算の単位でもある。企業の財務会計で暗号資産を扱う動きが2020年から本格化してきた。アメリカでは上場企業が暗号資産を買えるようになってきている。
お金の価値はそうそう変わらないため、価値の保存手段になる。日本円を銀行に預金して保存しても利息はゼロに近い。最近はインフレーションが進んでおり資産価値は減るばかりだ。そこで暗号資産を価値の保存手段として考える人が増えている。
アメリカは新しいものに物怖じしない人が多いが、日本は保守的な傾向にある。
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