わが息子よ、君はどう生きるか

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わが息子よ、君はどう生きるか
出版社
出版日
2016年08月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、18世紀イギリス最大の教養人と称されるフィリップ・チェスターフィールドが息子に宛てて書いた書簡集だ。人生論の名著として全世界で1100万部を突破しており、そのテーマは、時間の使い方、よりよい人間関係を築く方法、品格の養い方など多岐に渡る。いずれも、現代でも十分通用する教えばかりだ。

要約者が「なるほど」と思ったのは、著者が「人生最大の教訓」という「物腰は柔らかく、意志は強固に」である。自分の意見を持ちつつ、常に物腰は柔らかくしておくことが、望ましい姿として描かれている。物腰が柔らかいだけでも、意志が強いだけでもいけない。柔らかい物腰と強い意志、その両方がそろっている人こそ賢者であると著者はいう。

年若き息子に向けて書かれただけあって、本書のアドバイスはどれもシンプルで実践的だ。よく遊びよく学ぶこと、会話を独占しないこと、1日30分の読書習慣をつけること、手や爪をいつもきれいにしておくこと、旅に出て目と耳と足で学ぶことなど、日常的に実践できるものばかりである。

イギリス最大の教養人は、最愛の息子にどのようなアドバイスを贈ったのか。父から子への愛情あふれる手紙をのぞき見つつ、学んだことを日々の習慣に取り入れてみてほしい。

ライター画像
中崎倫子

著者

フィリップ・チェスターフィールド(Philip Chesterfield)
18世紀イギリス最大の教養人、文人政治家。伯爵。ケンブリッジ大学で学んだ後、外交官として手腕を発揮、 若くして国会議員に選ばれ、 幅広い知識と優れた弁舌で活躍した。 また、啓蒙思想家ボルテールやA・ポープ、J・スウィフトら作家、詩人との交遊もつとに有名。
本書は、駐オランダ大使としてハーグ駐在中にもうけた息子への書簡集。 文学的価値はもちろん、慈愛あふれた 「父から息子への手紙」の最高傑作、人生論の名著として、イギリスのみならず全世界1100万人もの人々に読み継がれている。

本書の要点

  • 要点
    1
    若いうちに知識の基盤をつくろう。知識は、年を取った時の憩いの場となり、逃げ場となる。
  • 要点
    2
    一番強いのは、友が多く敵の少ない人だ。そういう人はだれよりも早く出世するし、落ちぶれるにしても人々の同情を集める。
  • 要点
    3
    常に外見を整え、品位を保とう。同じことでも、品位のあるなしによって受け取られ方に差が生じる。
  • 要点
    4
    物腰は柔らかく、意志は強固でなければならない。感情がほとばしりそうになっても、ぐっとこらえて落ち着こう。

要約

「今この時をどう生きるか」が君の人生を決める

今こそ君の人生の基盤を固める時だ

何よりまず伝えたいのは、時間の貴重さとその使い方だ。

若いうちに知識の基盤をつくることを目指してほしい。知識は、年を取った時の憩いの場となり、逃げ場となるものだ。私が今、こうやって本の楽しみに浸れるのも、若い頃にしっかり勉強したからだろう。

もちろん、遊んだ時間も無駄ではなかったはずだ。遊びは人生に彩りを添えてくれる。もし若い時に遊んでいなかったら、今頃は遊びを過大評価してしまっていただろう。

私が唯一後悔しているのは、若い時に怠惰に過ごしてしまった時間のことだ。だから君には、若い時間を有意義に使ってほしい。無為に過ごせば、得られる知識の量は減るし、魅力ある人間になることはできない。今、勉強に時間を投資すれば、やがて大きな利子となって返ってくる。

どうしても勉強したくない時には、こう考えよう。これは通らなければならない道、1時間でも多く頑張れば、それだけ早く目的地に着ける――と。早く自由になれるか否かは、時間の使い方にかかっているのだ。

自己向上に「努力のしすぎ」はない
Olga PS/gettyimages

年をとってもよく働いてくれる頭をつくるには、今この時間を大切にしなければならない。君はまだ間に合う。知識を蓄える努力を惜しまぬようにしてほしい。

どんな逆境にあっても、優れた人は成功を収めるものだ。優れているのに報われない、ということはほとんどない。

ここで言う「優れている」とは、広い知識と見識があり、態度も立派な人のこと。立派な態度は、優れた人間に欠かせないものだ。態度しだいで、知識や見識が輝きもするし曇りもする。人を一番ひきつけるのも、知識や見識ではなく、その人の態度なのだ。

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要約公開日 2022.10.16
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