17万人をAI分析してわかった 最強チームの条件を1冊にまとめてみた

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出版社
出版日
2022年12月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

現代のマネジャーは忙しい。急激な変化に対応しつつ、多様な価値観のメンバーたちをまとめあげ、目標達成へと導く必要がある。自分のチームがうまくいっていないことはわかっているが、なにから手をつけてよいかわからないという人には、本書の教えが参考になることだろう。

著者の越川慎司氏は、ベストセラー『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』をはじめとした数々の著作で、トップ社員が実践する仕事術を明らかにしてきた。最新作となる本書では、815社、延べ17万人の行動履歴を収集・分析して見つけた「最強チームの条件」をまとめている。

そのうちの一つが「部下との対話は『よろしくお願いします』で始めない」。一般社員にヒアリングしたところ、1on1の冒頭で上司から「よろしくお願いします」と言われると、話しづらくなってしまうそうだ。その結果をもとに、本書では「感謝・ねぎらい」で対話をスタートすることが提案される。実際、43社で実験したところ、メンバーたちの満足度が30%以上アップしたという。

本書で全体最適のテクニックを学んだら、行動実験を重ね、自分の環境に合わせて個別最適化してほしい――。越川氏は「おわりに」でそう呼びかけている。変化をもたらすのは、自らの行動だけだ。チームの雰囲気を変えたい、メンバーたちの力を最大限引き出したい、目標達成できるチームになりたいと願う人に本書をおすすめしたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

越川慎司(こしかわ しんじ)
株式会社クロスリバー代表取締役、アグリゲーター。株式会社キャスター執行役員。1996年に日本電信電話株式会社(現NTT)に入社し、営業と人事を経験。2001年、外資通信会社に入社したものの9カ月で破産。02年WebExに参画、Web会議サービスでトップシェアを獲得。05年、マイクロソフト入社、最高品質責任者、業務執行役員などを経験。17年クロスリバーを設立、全メンバーが週休3日・複業・リモートワークで、オンライン講座やコンサルティングを提供。巻込力やパワポ作成術、会議ファシリテーション術などコミュニケーションに関する企業向けオンライン講座は受講生の満足度が高く平均94%。著書21冊、ベストセラーとなった『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    1on1は「今日は忙しいのに時間を取ってくれてありがとう」「先週金曜日にトラブル対応してくれてありがとう」などと、「感謝・ねぎらい」で始めるとよい。
  • 要点
    2
    強いチームは失敗を恐れずチャレンジする。マネジャーがやるべきは、失敗を責めることではなく、「これ、ちょっとやってみようよ、失敗してもいいよ!」とメンバーの行動ハードルを下げることだ。
  • 要点
    3
    他人の世話をする人を「縁の下の力持ち」とほめるだけでは不十分だ。誰かを助けたら加点するしくみをつくり、助け合えるチームを目指そう。

要約

強い組織のコミュニケーション・パターン

1on1は「感謝・ねぎらい」で始める

著者が経営する株式会社クロスリバーでは、クライアント企業の社員の行動履歴を収集・分析して、働き方改革を支援している。本書では、そうして見つけた「強い組織のコミュニケーション・パターン」のうち、再現性の高いテクニックが紹介されている。

クライアント43社、2.4万人の一般社員を対象としたアンケートでは、「よろしくお願いします」で1on1を始めるとメンバーのテンションが下がることが分かった。著者らはヒアリングを行い、その理由を2つ突き止めた。

1つ目は「面接・面談」になってしまうからだ。「よろしくお願いします」と言われると、人事評価面談のように感じてしまい、「まずいことを言うとマイナス評価になるから、あまり話さないでおこう」「今日は上司の話を聞くだけで守りに徹しよう」と考えてしまうのだという。2つ目の理由は、報告やプレゼンなどを依頼されている感覚をおぼえ、困惑するからだ。

では、どのようにスタートすると良いのか。43社での行動実験で効果があったのは、「感謝・ねぎらい」で始めることだ。「よろしくお願いします」ではなくて、「今日は忙しいのに時間を取ってくれてありがとう」「先週金曜日にトラブル対応してくれてありがとう」「後輩の指導をしてくれてありがとう」と言う。こうすると、事後アンケートでメンバーたちの満足度が30%以上アップすることが分かった。

社内会議を減らし、研修に時間を割く
courtneyk/gettyimages

22社を対象とした調査では、「コミュニケーションがうまく取れているチーム」と「そうでないチーム」の違いを明らかにしようと試みた。匿名のアンケートで、「うちのチームはコミュニケーションがうまく取れている」と回答する人が6割以上いたチームをチームA、「コミュニケーションがうまく取れていない」と回答する人が6割以上いたチームをチームBとして分析した。

両者の行動履歴を確認すると、チームAは社内会議を徹底的に減らし、浮いた時間をメンバーの研修に割り当てていた。一方、チームBは「会議のための会議のための会議のための打ち合わせ」を繰り返しており、職場の会議室は常に予約でいっぱいになっていた。

数字にすると、その違いは明らかだ。チームAはチームBより会議時間が24%少なく、一人当たりの研修時間が12%多く、チーム目標を50%達成しやすい一方で、チームBは資料作成時間が25%多く、病床・精神疾患が31%多く、離職率が18%高かった。つまり「コミュニケーションがとれているチーム」は、社内会議と資料作成にかける時間が短く、研修の時間が長く、チーム目標を達成しやすく、健康に長く働けるのだ。

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要約公開日 2023.03.13
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