著者のクライアント企業の社員、Bさんにはあるイライラがあった。PR担当のJ君から出てくるアイデアに目新しさがなく、どれも今一つなのだ。
Bさんの経験上、PR企画にはフレッシュなアイデアが欠かせない。それなのになぜいいアイデアが出ないのかと、ついJ君を強い口調で責めてしまっていた。説得術の本を読むなどして、J君を変えようと工夫してはいるものの、成果は出ていない。
そこで著者は、Bさんに「ポジションチェンジ」を提案した。まず、隣にJ君がいるつもりで、最近の会話を再現してもらう。その後、Bさんの普段の声がけを、J君になりきって体感してもらった。
両方の立場を経験したBさんの感想は「ああ、やっちゃってた!」だ。相手の話をほとんど聴いていないばかりか、J君を“アイデアがない人間”と決めつけて接していることに気がついたのだ。
このセッションによって「自分の行動に課題がある」と気づいたBさんは、習慣を徐々に改めていくことにした。数カ月後には、J君からいい企画が出されるようになっただけでなく、チーム全体の雰囲気も明るくなっていた。
あなたは「相手を動かし、変えることができるリーダー」と聞いて、どんな人を思い浮かべるだろう。社会的なポジションが高く専門性もあり、理路整然としている、優秀なリーダーを想像するかもしれない。
だが、これらの要素は必ずしも必要なものではない。誰かを動かしたり、変えたりする力は、誰でも身につけられるものだ。「相手を動かすため、変えるためには、優秀でなければならない」という思い込みから、あなた自身を解放してほしい。
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