著者は、学者、コンサルタント、コーチの立場から「新しい問いを立てること」の効果を研究している。その経験を通して、次の3つの発見をした。まず、よい答えを見つけるためには、よい問いを立てる必要がある。次に、よい問いが湧いてきやすい特別な環境はつくることが可能である。そして、よい問いを思いつけるかどうかは、才能ではなく、問う技術を磨けるかによって決まる。
本書には、正しく問う力を磨き、促していきたい人に向けて、何百人ものクリエイティブな人たちの答えが詰まっている。
創造的なブレークスルーが生まれた背景を調べると、新たな問いが誰かによって立てられたことが多い。たとえば、スナップ写真は、コダックの創始者ジョージ・イーストマンが外国旅行の準備をしている際の問いから生まれた。「写真撮影をもっと手軽で簡単なものにして、一般の人でも楽しめるものにできないだろうか」。イーストマンはこの思いつきから約10年後に、最初のコンパクトカメラ「コダック」を発売し、これが大ヒットとなった。
ただし、世界屈指の有力企業として君臨したコダックは、後に「知らないことを知らなかった」ことにより、衰退の道をたどることとなる。消費者の急激なデジタル写真への移行に対応すべきだったのだ。
問いの力というと、成功の糸口を見いだすなど、ポジティブな効果を考えがちだ。だが、問いは、ネガティブな脅威に対処する上でも大きな力を発揮する。自分が知らないことを知らない危険性に気づけるのだ。
本書における最高の問いとは、触媒的な問いだ。触媒的な問いには、2つの特徴がある。誤った固定観念を崩すという特徴と、新しい生産的な行動へエネルギーが振り向けられるようにするという特徴だ。
問いを立てなくなる人が多い理由は何か。それは、問いたいという欲求が何度も抑えつけられているからである。子供は質問の塊であるが、大人になるにつれ質問をしなくなっていく。
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