20万年前にアフリカで誕生した人間は、10万年ほど前から「もっとおいしいもの」を求めてユーラシアの方向に旅を始める。いわゆるグレートジャーニーである。
しかし1万2000年くらい前に放浪をやめ、定住して農耕や牧畜を始める。ドメスティケーションと呼ぶこの行動は、ホモ・サピエンスの歴史にとって大きな画期となる。
もう一つの画期は、言語の発明である。現在は、言語は「思考のツール」として生み出されたと考えられている。人間は言葉を使って考えるようになったのだ。
文字は、紀元前3500年ごろのメソポタミアで生まれた。文字の誕生は「取引」がきっかけだ。例えば、人に何かを貸し出すときに、忘れないように「ウマ1頭貸した」「麦を貸した」と粘土のボールを別々の壺に入れていく。しかし、取引が増えると壺も同時に増えてしまう。そこで、馬は「〇」、麦は「△」とボールに印を付けると、壺は1つで済む。取引の増加につれて記号は複雑になり、やがて文字に発展した。
メソポタミアの次に起こったのはエジプト文明だ。エジプトにピラミッドができたころ、インダス川流域で文明が誕生し、中国では紀元前2000年ごろに最古の王朝「夏」が生まれたとされる。
メソポタミア、エジプト、インダス、黄河の四大文明は、これまでばらばらに起こったといわれてきた。しかし今は、メソポタミアが他の文明に影響を及ぼしたという説が有力だ。例えば、メソポタミアのシュメールとインダスは、海路を通じて交易していたことがわかっている。また、黄河文明にはメソポタミアの戦闘用馬車「チャリオット」が見つかっており、その影響を証拠づけている。
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