日本の組織構造は長らく、終身雇用・メンバーシップ型雇用をベースとしたものだった。新卒一括採用で労働力を確保して育成システムにのせ、均質化した社員を生み出すことで高度経済成長期の大量生産を実現していたのだ。
だが現代において、この採用方式には綻びが生じつつある。実際、日本の従業員のエンゲージメントは先進各国の最下位だ。このことが日本の生産性を下げる一因になっているのかもしれない。
近年、人的資本経営への関心が高まっている。人的資本経営とは「人材を資本として考えてその価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげていく経営のあり方」だ。
これまで人材は「資本」ではなく「資源」であり、「投資」ではなく「消費」の対象であると考えられてきた。だが、少子高齢化によりほぼすべての職種で労働人口が不足していく中、人材を「資産」として捉え、「募集」ではなく「獲得」するという意識の変革が起こっている。
採用トレンドのみならず、求職者側の傾向も変化している。
現在の20~30代はミレニアル世代やZ世代と呼ばれるが、大量の情報を浴び続けることに慣れているこの世代は、情報の捉え方が40代や50代とはまったく異なる。求人広告を見ても、その情報をそのまま信じることはまずない。
これは飲食店選びにおいても同様だ。グルメサイトの情報より、周囲の友人・知人が勧めているかどうかを重視する。よりリアルな情報を求めているのだ。
さらにZ世代は「自分自身がなぜ必要とされるのか」を重視する傾向がある。「安定した企業だから」「大企業だから」といった理由だけで会社を選ぶことはほとんどないため、条件だけを示した採用活動で人材を獲得するのは難しいだろう。
こうした中、有効なのがリファラル採用だ。リファラル採用とは、従業員が友人・知人に自社のリアルな魅力を伝え、採用につなげていく手法だ。2012年以降、米国においては最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっている。
リファラル採用には4つのメリットがある。
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