読書セラピーは、英語では「ビブリオセラピー(bibliotherapy)」という。もともとは医学の分野で、患者に治療過程で読書をさせることを指した言葉が、カウンセリングの領域でも使われるようになった。日本では「読書療法」という言葉が一般的だが、本書では、読書で気軽に心身を元気にすることができるという点を伝えるために、「読書セラピー」という言葉を用いている。
では読書セラピーとは何か。著者が代表を務める日本読書療法学会では、読書セラピーを「読書によって問題が解決されたり、なんらかの癒しが得られたりすること」と定義している。本は心身に良い影響を与えてくれる。たとえば、本を読むことでホッとしたり、気持ちが軽くなったりした経験はないだろうか。マンガの主人公に勇気づけられる、人づきあいで悩んだときにコミュニケーションの本から解決のヒントをもらう、自己啓発書を読んで仕事へのやる気が出る。これらはみな、読書セラピーの一種といえる。
実のところ、さまざまな研究や調査により、読書にはストレスの軽減や健康寿命の延伸、共感力の育成など、多くの効果があることがわかっている。
苦しいときや困ったときに、本が支えになってくれる。そう知っているだけでも、生きることがラクになる。本書では、読書によってうつ病から回復した経験のある著者が、読書セラピーの魅力を伝えている。
では読書セラピーではどんな本が活用されるのだろうか。用いられることが多いのは文学作品だ。文学といっても古典の名作だけでなく、詩、小説、エッセイ、戯曲など、できる限り広く捉えている。
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