強みと弱みは表裏一体である。だから、より魅力的な人になりたいなら、不得意や苦手をなくそうとするのではなく、むしろそこに自分を変える大きなエネルギー・ポイントがあると考えるべきだ。自分の特徴や性格を正確に理解し、最大限に活かせば、特別な強みがなくても一流になれる。
人間には、俯瞰力、共感力、論理力、サービス精神、尊重力の5つの強みがあり、誰しもいずれかを必ずもち合わせている。そして多くの場合、「友達といるときは穏やかな共感力タイプでも、職場では凛とした俯瞰力タイプ」といった具合に、複数の強みをあわせ持ち、立場や状況、相手によって性格を使い分けているものだ。
ところが、その性格がよい方面に出る人もいれば、悪い方面に出る人もいる。同じ「共感力のある人」であっても、「共感力を活かして、言いにくいことでも穏やかに伝えられる人」と「共感力があるために、相手やその場の空気を優先し過ぎてしまい、自分の気持ちを後回しにする人」がいるのだ。
本書で説明する「変身ポイント」を活用すれば、マイナスをプラスへと変えられる。要約では、5つの強みタイプのうち、俯瞰力、共感力、サービス精神の3つを取り上げ、その特徴や変身ポイントを紹介する。
俯瞰力とは、高い視点から物事を見て、先を読む力のことだ。このタイプの人は、そのときに求められているものを適切に判断できるため、責任感を持って物事を推進したり、自分の意見をハッキリ述べたりするのが特徴だ。この特徴がいい形であらわれていると、リーダーシップを発揮し、周囲をうまく巻き込んでいける。
一方、この特徴が裏目に出ると、周囲とのあつれきを生んでしまいかねない。「リーダーシップはあるけれど、物言いが高圧的で周囲から慕われにくい」「求めるレベルが高過ぎて、まわりがついていけない」といった事態に発展するのだ。
周囲から「頑固」「上から目線」だと思われている、命令しているように聞こえないか心配……これらは俯瞰力がマイナスにあらわれているから起こることだ。
なぜ「頑固」「上から目線」などと思われてしまうのか。それは、俯瞰力のある人が、自分の知識や経験によって作ったルールに確固たる自信をもっているからだ。誰かのやり方が自分のルールと違っているのを見ると、そのやり方ではうまくいかないことが予想でき、よかれと思って指摘してしまう。相手にしてみれば、頭ごなしに否定された気分になり、あなたのことを「上から目線」と感じるのだ。
俯瞰力をプラスへ変身させるポイントは、相手にとってのメリットも考慮することである。相手の置かれている立場や状況まで考慮して初めて、俯瞰力はプラスの働きを発揮する。
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