忙しすぎるリーダーの9割が知らない

チームを動かす すごい仕組み

未読
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チームを動かす すごい仕組み
出版社
出版日
2023年03月27日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

今ではビジネスパーソンを指導する立場にいる著者でも、はじめから優れたリーダーだったわけではない。最初にマネジャーになったときには、自己中心的で、思いつくまま勝手気ままな指示を出していた。当時の部下からは二度と一緒に仕事をしたくないとまで言われたほどだというのだから、最悪な上司だったに違いない。そんな自分を反省し、試行錯誤を重ねて著者がたどり着いたのが、本書で明かされる「仕組み」だ。

「仕組み」とは、リーダーが必死に働かなくてもチームが成果を上げる、夢のようなマネジメント方法だ。著者が提唱する「仕組み」は、経営学や心理学の研究結果、組織論やマネジメント論の最新潮流によって、理論的に裏打ちされている。しかし、本書は、これらの理論にはあえて深入りせず、著者の実践知にフォーカスしている。これにより、本書が紹介する「仕組み」はどれも具体的で、誰もがいますぐ取り組める思考・行動のテクニックとして、読者に届けられている。

著者は長年コンサルティング業界で第一線を走り、現在は大学院で教育・研究活動に従事するかたわら、企業研修も精力的に行っている。現場経験と学問知を兼ね揃え、若い世代の考え方に対する理解も深く、現代の管理職が直面する課題にも通じている――いまの日本のマネジャーたちへアドバイスを贈るのに、これほど適任な人物はなかなかいないだろう。チームマネジメントや部下の育成、自分の成長に悩むすべてのリーダーは、是非本書を読まれたい。

ライター画像
奥地維也

著者

山本真司(やまもとしんじ)
立命館大学ビジネススクール教授。山本真司事務所代表取締役。1958年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東京銀行入行。シカゴ大学経営大学院(現シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス)にて修士号(MBA with honors、全米成績優秀者協会会員)取得。1990年、ボストン・コンサルティング・グループ東京事務所入社。その後、A.T.カーニーマネージング・ディレクター極東アジア共同代表、戦略グループアジア太平洋代表、ベイン・アンド・カンパニー東京事務所代表パートナーなどを歴任。2005年、英国ユーロマネー誌より、世界のトップ金融コンサルタントに、日本人として唯一選出される。2009年に独立。早稲田大学大学院客員教授等を経て、現在、立命館大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授、慶應義塾大学大学院非常勤講師として、教育の分野でも活動中。大手企業、経営者団体などに対する講演会多数。著書に、『40歳からの仕事術』(新潮新書)、『実力派たちの成長戦略』(PHP研究所)、『20代仕事筋の鍛え方』(ダイヤモンド社)、訳書に『エンゲージド・リーダー』(英治出版、共訳)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「仕組み」とは、マネジメントにおける思考・行動の定型パターンのこと。リーダーは「仕組み」を身につけることで、頑張らなくてもチームを動かし、仕事を回すことができる。
  • 要点
    2
    いま、組織は、トップダウン的なピラミッド型から、現場重視でオープンなフラット型へと変化している。「仕組み」を取り入れれば、組織のフラット化推進にもつながる。
  • 要点
    3
    フラット型組織が求められる理由には、新しい価値観を持つ若い世代の登場、イノベーションを起こす必要性、グローバリゼーションの進展、という3つの時代背景がある。

要約

【必読ポイント!】 頑張らなくても成果が出る「仕組み」

「史上最凶のマネジャー」からの変身

かつて著者は、会社から「史上最凶のマネジャー」と呼ばれていたという。部下は自分で努力して成長すべしという考えから、「ウルトラ放し飼い」のノーマネジメントを決行。あまりの自己中心主義によって人望を失った著者は、今度は、チームメンバーを手取り足取り指導する「究極の一人プロジェクト」方式に転換した。部下からは歓迎されたが、業務量が激増した著者は必然的に疲弊した。なにより、メンバーが成長しなかった。

メンバーが自発的に動き、成長する組織にするにはどうすればいいのか――“最強”のマネジメント方法を模索した著者がたどり着いたのは、組織を動かすための「仕組み」の追求だ。

「仕組み」とは、からくり人形である
aurielaki/gettyimages

著者が編み出したマネジメントの「仕組み」とは、チームメンバーや自分自身の思考を動かし、行動を引き起こす技の集合体だ。イメージはからくり人形。一つひとつの部品は単純で小さな動きを反復するだけなのに、大小の部品が連動することで、人形全体は複雑で大きな動きを自動的に達成する。しかも、人形の動きは毎回正確に再現され、大失敗することは極めて少ない。

「仕組み」も同様だ。リーダーは一連の決まった思考・行動パターンを踏襲するだけで、一つひとつの問題の対処にいちいち考え込んだり、無駄な試行錯誤を繰り返したりすることなく、チーム全体を自然と動かし、仕事を迅速に進行させ、安定して高い成果を達成することができるのだ。

まずは「型」を身につける

「仕組み」を学ぶときに重要なのは、まずは「型」を意識することだ。最初は本書の「仕組み」を「型」として習得し、一定の結果を繰り返し再現できるようになってから、最後に自分なりのアレンジを加えてもらいたい。

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要約公開日 2023.08.08
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