かつて著者は、会社から「史上最凶のマネジャー」と呼ばれていたという。部下は自分で努力して成長すべしという考えから、「ウルトラ放し飼い」のノーマネジメントを決行。あまりの自己中心主義によって人望を失った著者は、今度は、チームメンバーを手取り足取り指導する「究極の一人プロジェクト」方式に転換した。部下からは歓迎されたが、業務量が激増した著者は必然的に疲弊した。なにより、メンバーが成長しなかった。
メンバーが自発的に動き、成長する組織にするにはどうすればいいのか――“最強”のマネジメント方法を模索した著者がたどり着いたのは、組織を動かすための「仕組み」の追求だ。
著者が編み出したマネジメントの「仕組み」とは、チームメンバーや自分自身の思考を動かし、行動を引き起こす技の集合体だ。イメージはからくり人形。一つひとつの部品は単純で小さな動きを反復するだけなのに、大小の部品が連動することで、人形全体は複雑で大きな動きを自動的に達成する。しかも、人形の動きは毎回正確に再現され、大失敗することは極めて少ない。
「仕組み」も同様だ。リーダーは一連の決まった思考・行動パターンを踏襲するだけで、一つひとつの問題の対処にいちいち考え込んだり、無駄な試行錯誤を繰り返したりすることなく、チーム全体を自然と動かし、仕事を迅速に進行させ、安定して高い成果を達成することができるのだ。
「仕組み」を学ぶときに重要なのは、まずは「型」を意識することだ。最初は本書の「仕組み」を「型」として習得し、一定の結果を繰り返し再現できるようになってから、最後に自分なりのアレンジを加えてもらいたい。
3,400冊以上の要約が楽しめる