新しいスキルで自分の未来を創る

リスキリング【実践編】

未読
リスキリング【実践編】
新しいスキルで自分の未来を創る
リスキリング【実践編】
未読
リスキリング【実践編】
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

出版社ページへ

出版日
2023年09月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「皆さんの給与はこれから上がりますか?」「現在のスキルだけで、これからも通用しますか?」「AI時代、皆さんの仕事はこれからもそのまま残りますか?」――著者は本書の冒頭で、3つの質問を読者に投げかけている。これらの質問全てに「はい」と答えられる人には、リスキリングは不要だという。しかし、今の日本社会で、3つ全てに自信を持って「はい」と回答できる人は少ないのではないだろうか。

リスキリングとは、企業や組織が主体となって、抱えるメンバーの活動領域を広げ、より持続的に成長を続けていくための概念である。著者は、企業や個人がリスキリングと向き合う上で持つべきマインドセットや、学習の仕組みづくりについて、わかりやすく解説する。そのほか、年代別のスキル習得に向けた注意点や、リスキリングの未来など読みどころ満載だ。リスキリングを実践し、キャリアや組織の成功に結びつけるうえで、本書は有用な一冊である。

キャリアに悩む個人、まだ力を発揮できていないメンバーに頭を抱えるマネジャー層や人事担当者、経営戦略と人材投資の整合性について問われる経営者。こうした幅広い層に手に取っていただきたい良書である。リスキリングが未来を創るための欠かせないプロセスだと実感できることだろう。

著者

後藤宗明(ごとう むねあき)
早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を含むリスキリング・プロセス支援を可能とするカナダ初のリスキリングプラットフォーム、SkyHive Technologiesの日本代表に就任。「日本をリスキリング」するため、石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。

本書の要点

  • 要点
    1
    リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」である。あくまで企業が主体となって、人材に成長機会を与える取り組みである。
  • 要点
    2
    著者は、リスキリングで持つべき7つのマインドセットと、学習の成果を出しやすくする10の構成要素を紹介している。
  • 要点
    3
    AIの台頭で、人間に求められるものは「正解思考」から「予測思考」へと変化している。

要約

リスキリングの「誤解」

「リスキリング=学び直し」ではない

リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」である。日本では個人が主体となる「学び直し」や「生涯学習」と混同されることがある。だが、欧米では「組織が実施責任を持ち、従業員の職業能力を再開発する」ものとして定着している。その背景には、技術的失業を防ぐという目的がある。

日本でリスキリングを浸透させるには、次の3つのテーマが重要となる。それは、「経営レベルでの新たな事業戦略の方向性の明示」「AIなどのデジタル分野の自動化技術を含む成長分野への理解」「貧困・失業といった社会課題解決分野への理解や経験」である。経営陣が自社の事業戦略の方向性を明らかにしてはじめて、従業員がどんなリスキリングに取り組むべきかが見えてくる。経営陣が最新のデジタル技術を理解する必要がある。さらには、失業や貧困という問題にどれだけリアリティを持って向き合い、本気で対処しようと思えるかという意志が問われていく。

リスキリングすると社員が辞める?
emma/gettyimages

リスキリングという言葉が急速に広がったがゆえに、いくつもの誤解が生まれ、リスキリングの失敗に結びついてしまっている。その1つが「リスキリングは転職のために行うもの」という言説だ。特に中堅・中小企業の経営層は、リスキリングをすると従業員が転職してしまうと思い、拒絶反応につながっている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り4087/4694文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.10.12
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
挫折からのキャリア論
挫折からのキャリア論
山口真由
未読
自分という壁
自分という壁
大愚元勝
未読
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
自分らしく生きている人の学びの引き出し術
尾石晴
未読
逆張り思考
逆張り思考
成田修造
未読
天才性が見つかる 才能の地図
天才性が見つかる 才能の地図
鈴木祐
未読
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」
倉島保美
未読
40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか
40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか
河合薫
未読
消齢化社会
消齢化社会
博報堂生活総合研究所
未読
法人導入をお考えのお客様