消齢化社会

年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測
未読
消齢化社会
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年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測
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消齢化社会
出版社
集英社インターナショナル

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出版日
2023年08月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「年齢にとらわれず新しいことに挑戦したり、自分らしさを追求したりする人を目にする機会が、ここ最近やけに多い。そう感じているのはきっと、私たち生活総研だけではないと思います」――本書の冒頭の一節だ。きっと多くの方が同じ感覚を抱いているだろう。好まれがちな趣味や行動パターン、ファッションなどにおいても「この年代はこれ」というスタンダードがなくなりつつあるように思う。

本書の著者である博報堂生活総合研究所は、生活者の意識と行動を研究しているシンクタンクだ。著者らは、1992年から続く長期時系列調査「生活定点」のデータを分析するなかで、「消齢化」という現象を発見し、調査・研究をはじめたという。この現象についてまとめられたのが本書である。

興味深いのは、さまざまな分野で「消齢化」が確認されていることだ。「ハンバーグが好き」「超能力を信じる」「夫婦はどんなことがあっても離婚しない方がよいと思う」「木の床(フローリング)が好きだ」「世界にひとつしかない自分の服や小物などを作りたいと思う」……すべて「生活定点」の問いである。分野はバラバラだが、これらすべての回答において、年齢による違いが小さくなっていたそうだ。

本書は、商品開発やマーケティング、PR、広告などに携わる方の必読書と言えるだろう。消齢化が進んでいるという視点を持っているかどうかで、仕事のアウトプットは変わってくるはずだ。もちろんそれ以外の方も、自分やまわりの傾向に照らしながら、楽しく読める一冊である。

著者

博報堂生活総合研究所(はくほうどうせいかつそうごうけんきゅうじょ)
博報堂の企業哲学「生活者発想」を具現化するために1981年に設立されたシンクタンク。人間を、単なる消費者としてではなく「生活する主体」という意味で捉え、その意識と行動を研究している。1992年から続く長期時系列調査「生活定点」のデータをもとに「消齢化社会」を提唱。近年では、デジタル空間上のビッグデータをエスノグラフィ(生活現場の観察やインタビューを伴う調査手法)の視点で分析する「デジノグラフィ」も推進中。

本書の要点

  • 要点
    1
    博報堂生活総合研究所は、生活者の意識や好み・価値観などについて、年齢による違いが小さくなる現象を「消齢化」と命名し、調査・研究している。この現象は、あらゆる分野において起こっている。
  • 要点
    2
    消齢化には、「上昇収束型」「下降収束型」「中央収束型」の3パターンがある。その背景には、生活者の「できる」が増えたこと、「すべき」が薄れたこと、「したい」を追求しはじめたことがあると考えている。
  • 要点
    3
    消齢化社会においては、個人の行動はもちろん、市場のあり方も変わっていく。これからマーケティング活動を展開するにあたって、消齢化という潮流を適切に理解することは不可欠だ。

要約

消齢化の発見

生活者データから見えてきたもの
JLco - Julia Amaral/gettyimages

「年齢にとらわれず新しいことに挑戦したり、自分らしさを追求したりする人を目にする機会が増えている」「元気で若々しいシニアが多い気がする」「最近の若者はやけに大人びている」――このように、ここ最近、生活者の年齢と意識・価値観の関係性が薄れてきたと感じている人もいるかもしれない。

生活者の意識と行動を研究している著者らにも同様の感覚があった。そしてあるとき、その変化が長期的なスパンでデータに表れていることを発見した。

著者らが所属する博報堂生活総合研究所では、1992年から「生活定点」調査を続けている。2022年に30年という節目を迎え、それまでに集まった膨大な生活者データを見返していた著者らは、多くのグラフに特徴的な動きが見られることに気づいた。

一例として、「将来に備えるよりも、現在をエンジョイするタイプである」という項目についての回答を見てみよう。「はい」と答えた人は、1992年では39.0%、2022年では41.4%だ。1992年から2022年までの数値は40%前後で、30年間ずっと変化していないように見える。

だが、年齢に注目してみると、別の傾向が見えてきた。1992年時点では年代別の数値に開きがあったのに、年々近づいてきているのだ。若年層で「今をエンジョイしたい」という意識が減少する一方で、高年層では増えていて、結果的に年代間の違いが小さくなっている。

このように、いくつものデータにおいて、年代による差が狭まっていることがわかった。そこで考えたのは、生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが徐々に小さくなっているのではないかということだ。そしてこの現象を「消齢化」と命名し、調査・研究を始めた。

とはいえ、消齢化が起こっているという確信を得るには時間がかかった。「年代による違いが小さくなっている項目」と「年代による違いが大きくなっている項目」の数を比較したり、「特定の分野でだけ起こっている現象なのではないか」と疑って調べたり、別の調査の傾向を見てみたりといった検証を重ねた結果、「これは無視できない大きな潮流だ」という確信を得られたのだ。

そこで著者らはまず、消齢化の背景を探ることにした。手掛かりになったのは「生活定点」のグラフの動きだ。グラフを見直してみると、変化の仕方に3つのパターン(型)が見つかった。次の項では、それぞれのパターンを紹介したい。

消齢化の背景

パターン(1)上昇収束型

1つ目のパターンは、各年代が増加しながら近づいていく「上昇収束型」だ。「携帯電話やスマホは私の生活になくてはならないものだ」という項目はこのパターンに該当していた。

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要約公開日 2023.10.05
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