哲学者であり法律家、そして数学者でもあったライプニッツは、ロシア皇帝のピョートル大帝に3つの計画を示した。1つ目は、陸路の探検隊をカムチャッカ半島と太平洋まで送ることにより、アメリカとアジアがつながっているのか離れているのかを調査させる計画だ。住民の言語をもとに人類の起源、進化の謎に迫り、また地形を調査することを目的とした。
2つ目は、ロシア科学アカデミーの創設だ。そして3つ目が、デジタル・コンピューターを使った「正確な計算によって、人生に最も有用な原理、すなわち道徳と形而上学を徹底的に解明する」計画だ。言語とその背景にある概念に対し素数を割り当てて計算を行う方法を、中国の哲学者に伝えた。同時に、ロシアの国内政策に取り入れることで、自身が理想とした科学と論理、さらに機械の知性に基づく合理社会を描こうとした。
その後、ライプニッツが描いた社会が到来するまで200年近くを要した。真空管でつくられた電子式デジタル・コンピューターが登場し、さらに50年を経てデジタル技術は非デジタルな世界を複製する能力を有するに至った。
アナログ・コンピューティングとデジタル・コンピューティングの違いは何だろうか。前者は時間の経過とともに値がなめらかに変化する連続関数を扱う。一方、後者はある瞬間と次の瞬間の間に値が精密に変化する、離散的な関数を扱う。デジタルでは一度に1つのことが起きるが、アナログではすべてが同時に起こる。
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