地球は「ピースの数が決まっているレゴのようなもの」である。ピースの組み合わせによって形を無限につくることができる一方、ピースの数は有限だ。有限かつ無限、それがレゴの特徴だ。
地球上の物質環境も同じである。あらゆる自然資源が「有限である」ことを忘れて使い続ければ、この先地球はもたないだろう。今の人類に求められているのは、人間の利益か自然の保護かという二者択一ではなく、人間と自然の「共生」を実現させることである。この考えを基本とすることで、人間のあらゆる生産活動が「地球貢献」と呼べるものになっていくと予想される。
地球貢献がこれからの時代の潮流になれば、ビジネスにおいてもこれまでの常識がひっくり返る。「地球貢献型」へのシフトは避けられないが、この変化への対応にはいくつかのハードルがある。
1つめは「持続可能性」である。ビジネスを持続可能にするには、長期的視点で考える必要がある。そのため、「つくりっぱなし」ではなく、「再利用する」プロセスのある循環型にしなければならない。
2つめは、「地球貢献」だ。従来は顧客のニーズに応えることでビジネスが成立していたが、これからは自らのビジネスが地球にもたらす影響を考慮する、サイエンスの視点が必要になる。
3つめは、人々の価値観の変化だ。2000年前後に生まれた「Z世代」にとって、自分たちの未来に直接関わる持続可能性や地球貢献の概念は、完全に「自分ごと」である。そのようなZ世代の価値観が、そのまま社会や経済の価値観に反映されていくのは当然の流れである。
従来のビジネスの目的はあくまで「利益を追求すること」であった。課題解決の結果として利益が生まれる。しかし、これからの時代は、必ずしも利益に結びつかないが、解決しなければならない課題が増えていくだろう。
そのひとつが、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」である。たとえカーボンニュートラルを達成しても、地球はお金を払ってくれない。資本主義のルールが通用しないのだ。
これを解決するには、ビジネスの原理を逆流させるしかない。つまり、「売上のための課題解決」から「課題解決のための売上」に転換するのである。地球貢献の実現には、逆流の発想が欠かせない。
また、これからの厳しい生存環境を生き抜くヒントに「共生」という考え方がある。共生は、異種の存在が「一緒に生き残る」ためのシステムだ。同一の役割を分担するのではなく、それぞれが異なる役割を果たす。
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