誰でも内心では「お金の面でゆとりを持って、今より豊かな暮らしがしたい」と思っているはずだ。ゆとりのある生活を実現するために実行すべきことは3つしかない。(1)収入を増やす、(2)支出を減らす、(3)お金に働いてもらう、である。
だが、ほとんど賃上げがされていない今の日本で収入を増やすのは容易ではないし、無理な節約は続くものではない。だとしたら、残るは「お金に働いてもらう」しかない。資産運用で、資産を守り育てていくことが豊かな将来につながるのである。
投資初心者は「預貯金も資産運用の一つだし、減るリスクがなくて手軽だから」と、預貯金だけで満足しがちだ。しかし、預貯金だけではお金が増えないので資産形成にならない。今のメガバンクの定期預金の金利は金額・期間によらず0.002%しかない。これが2倍になるのにかかる年数は3万6000年。預貯金を保有しているだけでは資産を増やすことは不可能だと理解できるだろう。
預貯金のもう一つの問題は、「インフレ」と「円安」のリスクのために、安心とは限らないということだ。インフレで物の値段が上がっていけば、同じ金額の価値はどんどん下がっていく。また、円安で世界の通貨の中で日本円の価値が下がっていけば、外国から物を買うときに多くのお金を払わなければならないことになる。これは資産を外貨に替えておくことである程度リスクを分散できるが、いずれにしても預貯金だけで安心できるとはいえない。私たちは誰もが下りのエスカレーターに乗っていると認識するべきなのだ。
もちろん投資にはリスクもある。重要なのは、失敗しにくい投資法を知り、最終的には投資を自己判断できるようになることだ。
金融商品の種類はいろいろあるが、活用していくべき商品は「株と投信」だ。株や投信のように値動きのある商品はリスク商品と呼ばれる。リスクとうまくつきあうには、「長期・分散・積立投資」が基本となる。過去のデータで効果を調べると、複数の資産に20年かけて、毎月同じ額を投資した場合、元本が約2倍、利回りが年4%ほどの複利で運用できている。これは「いろいろなものに分散して長く放っておく」だけでもかなりの運用成績が見込めることを意味する。そのためにはNISA口座を開設して投資の積立を始めるだけでよい。これがNISAが資産形成の王道と言われるゆえんなのだ。
2024年にNISAは大きな改正が行われる。
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