著者は、ノルマを達成できなければ3カ月でクビになる厳しいプロトレーダーの業界において、10年間生き残ってきた。一口に機関投資家といっても所属する組織によってトレードの内容は多岐にわたる。著者はかつて証券会社の自己売買部門に所属し、「プロップトレーダー」として、月間1250万円という厳しいノルマが課されたこともある。それでも売買停止になったことは一度もないという強者だ。
プロップトレーダーは一匹狼の世界であり、手法も個人に任されているがゆえに取引の結果は完全に自己責任なので、その立ち位置は個人投資家とよく似ている、と著者は考えている。
すなわち個人投資家も、「利益を上げ続けないと生き残れない」という覚悟を持って取引すれば必ず結果がついてくる、ということだ。本書にはそのためのノウハウや考え方がぎっしりと詰め込まれている。
プロの技法といっても、著者のトレードにおける手法はきわめてシンプルである。「上がっているものをこれからも上がると思って買う」「下がっているものをお買い得だと思って買わない」「予想がハズれたら損切り」、たったそれだけだ。
直近の高値を更新し続けているシグナルのタイミングで買いエントリーし、上昇停止あるいは下落開始のシグナルで利益確定を行う。上がる予想が外れた時点ですぐに売る。著者はこのルールを徹底することで手堅く収益をあげてきた。
こうした判断基準を予め設定し、それに従って「素早く、的確に、ブレずに」エントリーしていくことだ。下がっているものがいつ下げ止まるかはプロでも判断が難しい。「安物買いの銭失い」にならぬよう、意識を転換していこう。
有望株を見つける方法には、決算書などからその企業の業績推移を調べる手法がメインの「ファンダメンタルズ分析」と、株価チャートに様々な指標を合わせて売買シグナルなどを頼りに買い時・売り時を判断する「テクニカル分析」の2つがある。
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