アトツギベンチャー思考

社長になるまでにやっておく55のこと
未読
アトツギベンチャー思考
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出版社
出版日
2023年10月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

国際的に見て日本の開業率は低い。その一方、日本には膨大な数の中小企業が存在し、その多くが同族企業である。この同族企業の若き「アトツギ」たちが新規事業を立ち上げれば、地域経済の活性化につながり、ひいては日本経済を盛り立てる一助となるのではないかと本書は説く。

本書は、同族企業の後継者である「アトツギ」に向けて書かれた一冊だ。「アトツギ」として生まれたばかりに、家業を継がなければならないプレッシャーに悩んだり、将来に不安を感じたりしている人は多い。本書では「家業に入る前後に経験しておいてほしいこと」を55項目にまとめ、若きアトツギを全方位的にサポートしている。

著者の山野千枝さんは「ベンチャー型事業承継」という、新時代の事業承継のあり方を提唱している。ベンチャー型事業承継とは、同族企業のアトツギが世代交代を機に、家業の経営資産をベースにしながら新たな領域に挑戦することを指す。著者はアトツギ支援のため、2018年に「一般社団法人ベンチャー型事業承継」を立ち上げ、同団体のオンラインコミュニティー「アトツギファースト」を運営している。

本書はアトツギ向けの内容だが、マネジメントや新規事業立ち上げなど、ビジネスパーソンに役立つ情報も多い。また、スタートアップの経営者や起業を志す人にとっては、「ゼロイチ」であるスタートアップとの違いがわかり、自社の強み・弱みを再認識することができるかもしれない。

ライター画像
鈴木えり

著者

山野千枝(やまの ちえ)
一般社団法人ベンチャー型事業承継代表理事
1969年岡山県生まれ。91年関西学院大学卒業後、大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」などを経て、2018年に中小企業の承継予定者を対象に新規事業開発や業務改善を支援する一般社団法人ベンチャー型事業承継を設立。公益財団法人大阪産業局フェロー。関西大学、関西学院大学大学院経営戦略研究科で非常勤講師

本書の要点

  • 要点
    1
    業界や業種の壁がなくなりつつある今、家業とは違う世界にも関心を向けることが肝要だ。アトツギ時代に「知の探索」をすることが、将来の「両利きの経営」につながる。
  • 要点
    2
    アトツギの入社は「やりたくてもできなかった」長年の慣習を変えるチャンスであり、DX(デジタルトランスフォーメーション)もその一つである。
  • 要点
    3
    新規事業のアイデアは、既存の経営資源と「未来志向キーワード」を掛け合わせることで生み出すことができる。
  • 要点
    4
    アトツギは、家業の財務内容を詳細に把握しなければならない。

要約

家業に入る前後のマインドセット

アトツギこそ「知の探索」を

業界・業種・業態の境がなくなるこれからの時代、アトツギとして家業で新しい事業を創造するのなら、違う世界にアンテナを張る必要がある。今はアパレル業界が飲食ビジネスを展開したり、家電メーカーが化粧品市場に参入したりと、自社のリソースを活用して新たなビジネス領域に展開する事例が増えている。

いざ家業に入ってしまうと、技術や知識の習得に忙殺され、視野が狭くなってしまう。そうなる前のアトツギ時代に、自社以外の業界に関心を向ける「知の探索」の時間を作る必要がある。

「知の深化」と「知の探索」はトレードオンの関係であり、アトツギがめざすべきは「両利きの経営」だ。「世の中の風を読める」社長になるためにも、アトツギ時代からその訓練をしておきたい。

社外から家業に関わってみる
maruco/gettyimages

社会人としての最初のキャリアは、将来の仕事観に大きな影響を与える。一昔前なら家業と同じ業界の会社に就職し、経験を積むのが一般的なアトツギのキャリアデザインだった。しかし今は特定の業界にこだわるより、他業界での経験やネットワークが財産となる時代だ。

そのため、家業の業界を問わず、自分の興味や関心がある分野の会社に就職するといいだろう。家業にないものを持ち帰るのがアトツギの役目であり、家業以外で自分が熱狂できる領域や得意分野を持っておくことは大きな武器となる。異業種での経験が、のちに思わぬ形につながることもあるだろう。

また、同族企業の事業継承は大きな覚悟と責任が伴うため、先送りにされがちだ。先代の病気を機に、急に「継ぐか、継がないか」を迫れることもある。大きな決断を性急に行わないためにも、早い段階から家業に関わることが望ましい。

例えば、東京の会社に勤めながら実家の会社のサイトリニューアルを手掛けるなど、できる範囲で家業を手伝ってみるのも一案だ。まだ若いうちに「どちらも」経験しておくのは、今後のプラスになるはずだ。

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要約公開日 2024.02.03
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