会話には2つのポジションがある。それは「話し手のポジション」と「聴き手のポジション」だ。攻守がはっきりわかれている野球と同様、会話も「聴く」と立場を決めたら徹底して聴いてはじめて、きちんと「聴ける」ものである。
本書では、聴き手のポジションのことを、略して「聴きポジ」と呼ぶ。聴きポジにつくとは、相手の話を耳だけでなく心に入れ、ときには質問も交えながら、相手の真に伝えたいことを理解することだ。
あまり親密でない人と話すとき、「なにか話題を提供しなきゃ(どうしよう)」「なんだか盛り上がらないなあ(どうしよう)」などと焦ることがあるだろう。「聴きポジ」につけば、こうした「どうしよう」に悩む間(ま)もなく、会話がスムーズに流れていく。
「聴きポジ」につくと、「この人はわかってくれる」「心地いい」「ついついいろんなことを話してしまう」と、よい印象を持ってもらえる。相手からの信頼が得られ、仕事もプライベートも円滑に進むことだろう。
「聴きポジ」の人は会話の主導権を握れる。相づちや質問により、相手の発言のどこにフォーカスして展開していくかで、会話の流れが変化するからだ。
たとえば先輩と話していて、相手が「昨日○○社のAさんとふたりで飲みに行ったんだけどね、今日から新入社員が部署に配属されるんだって緊張していたよ」と言ったとしよう。ここであなたが「Aさんとはよく飲みに行くんですか?」と言うか、「今年はどんな新入社員が入ったか聞いてますか?」と言うか、それとも「先輩も新人さんに緊張したりするんですか?」と言うかで、話の方向性は大きく変わる。
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