主人公のゆかりは都内で働く会社員、28歳だ。一生懸命に頑張っているのに仕事もプライベートも思うようにいかず、すっかりお疲れモードである。
仕事で大失敗してしまった日、ゆかりは帰り道で立ち寄ったバーにて、同じく客として来店していた精神科医・樺沢紫苑先生と出会った。樺沢先生はゆかりに「幸せは誰でも同じやり方で確実に手に入れられるんですよ」と断言し、「ここで出会ったのも何かの縁ですからね」と、幸せの特別授業をしてくれることになった。
樺沢先生によると、幸せとはズバリ、脳内で幸福物質が出ている状態のことを指す。つまり、幸せを感じているときに脳内で出ている物質と、その物質を出す条件がわかれば、幸せになれるということだ。
私たちが「幸せ」を感じている瞬間に脳内で出ている幸福物質は、主にドーパミン、オキシトシン、セロトニンの3つだ。
ドーパミンの幸福は、お金や成功、名誉、達成の幸せだ。
オキシトシンの幸福は、愛やつながりの幸せである。
そしてセロトニンの幸福は、やすらぎやリラックスなど、心と体が健康な状態でこそ感じられる幸せだ。
ドーパミン、オキシトシン、セロトニンの3つには優先順位がある。樺沢先生によると、ゆかりのように「頑張っているのにうまくいかない」人は、この優先順位を間違えている可能性があるそうだ。
仕事で成功すればドーパミン的幸福を得られる。だが、休む、リラックスするというセロトニン的幸福をおろそかにしてドーパミン的幸福ばかり追い求めると、ストレスがたまって疲れてしまう。幸せでいたいなら、休んだりのんびりしたりすることも必要だ。
この説明を聞いて、ゆかりはピンときた。「ということは、ドーパミン的幸福より、セロトニン的幸福のほうが、優先順位は上?」
ゆかりの考えは当たっていた。仕事を適度に頑張るためにも、心と体の健康という基盤は欠かせない。
もう一つ、オキシトシン的幸福も忘れてはならない。家庭をかえりみずに仕事ばかりして、家族に愛想をつかされてしまっては、いくら仕事で成功しても幸せとは言えないのではないだろうか。ゆかりも過去に、残業ばかりして恋人と会う時間がとれず、相手との関係が壊れてしまった経験がある。
3,400冊以上の要約が楽しめる