贅沢はしていないのに、お金が貯まらない。給料日前になると、いつも生活がカツカツになってしまう。そうなってしまう原因はどこにあるのだろう。「会社が給料を上げてくれないから」と考えるかもしれないが、それは原因の一端であっても、考え方としては正しくない。
例えばこんな生活をしてはいないだろうか。仕事帰りについコンビニでお菓子を買ってしまう。自分へのご褒美に、服やコスメを買う。買ったのに使っていないものがある。いまを楽しみたいので、そのときほしいものややりたいことを最優先にする――。
なにかを選ぶことは同時になにかを捨てることである。「仕事帰りのコンビニのお菓子」や「ほしい服やコスメ」を買うなら「来月あたり旅行に行きたいな」という計画は捨てなくてはならない。「若いうちにお金を自由に使う」を優先するなら、将来のための備えや金銭的な安心は、とりあえず捨てなければならない。本音は「すべてを手に入れたい!」「どれも捨てたくない!」というところだが、決まったお金で生活をしている限り、そういうわけにはいかない。
大切ではないモノやコトにお金を使うということは、そのぶん大切なモノやコトにお金を使うという選択肢を捨てることだ。貯金ができない、ほしいものが買えない、やりたいことができないのは「収入が少ないから」ではない。節約においては、自分自身の考え方、つまりメンタルがもっとも重要なのである。
例えば「アラサー世代の社会人女性」と言われたとき、どんな生活を思い浮かべるだろうか。インテリアにこだわり、恋人や友だちとの食事会ではおしゃれな店に足を運び、トレンドを押さえてファッションにも気を配り、ジムやホットヨガに通って自分磨きをし、ネイルサロンやまつ毛エクステなど美容にも定期的にお金を使う――そんな像が思い浮かんでこないだろうか。
女性インフルエンサーがSNSで発信するような生活を真似していては、お金はいくらあっても足りない。これは年齢が変わっても、あるいは男性でも同じだ。企業は「世間の声」を装って、巧みにお金を使わせようとする。
もちろん、例えば営業職であれば、服装や身だしなみにお金をかけることは成績アップ・収入アップのための投資になる場合もあるだろう。問題なのはそういった明確な目的のある買い物ではなく、単なる見栄や広告に乗せられて「なんとなく」お金を使ってしまうパターンだ。
それが「自分のために自らの意志で選んだ支出」ではなく、ただ流行や世間体を気にしてお金を使っているだけならば、いちど財布をしまうべきだ。
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