働かないニッポン

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働かないニッポン
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出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年01月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「あなたは何のために働いていますか?」

この問いにさっと答えられる人は、どれくらいいるのだろうか。現代の日本社会において、働く意欲の低下が大きな問題となっている。『働かないニッポン』は、そうした日本の労働環境の実態に切り込んだ一冊である。

著者で健康社会学者の河合薫氏は、さまざまな研究結果をもとに日本人の働く意欲が失われている背景を多角的に分析している。その根底にある構造上の問題は、日本企業に根付いてきた「日本的マゾヒズム」や「ジジイの壁」だという。

こういった状況を打破するためのキーワードは「有意味感」である。有意味感をもてるようになれば、自らの幸せにつながり、半径3メートルの世界にいる人々をも巻き込んで、よりよい「働く環境」を作り出せるという。

「日々仕事をこなしているだけで、そこに意味を見出せない」「部下のモチベーション管理に悩んでいる」。こうした悩みを抱えるビジネスパーソンに、本書は救いの手を差し伸べてくれる。働き方の現状を見つめ直し、より幸せに働くためにはどうしたらいいのか? その実践的なアドバイスが詰まっているのだ。一読すれば視界が開けて、より自分らしい仕事のあり方を模索しようとエンパワーされるはずだ。

ライター画像
小林悠樹

著者

河合薫(かわい かおる)
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在は「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究にかかわるとともに講演や執筆活動を行う。著書に『他人をバカにしたがる男たち』『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』『50歳の壁 誰にも言えない本音』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本では、仕事をしたくない若者が増加しており、その背景には「組織社会化過程の欠損」や「普通志向の高まり」などがある。
  • 要点
    2
    日本企業において、「ジジイの壁」や「日本的マゾヒズム」が深く根を張り、それが働く人たちの労働意欲の低下につながっている。
  • 要点
    3
    仕事を通じて幸せになるためには「SOC(首尾一貫感覚)」が重要であり、それは「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」の3つの感覚から構成される。

要約

「働く意欲」を奪われる若者たち

仕事をしたくない人が増えている

いま日本では、仕事をしたくない人が増えている。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「若者のワークスタイル調査」によれば、「できれば仕事をしたくない」と答えた25~34歳の割合は2001年から20年の間に著しく増加している。また、正社員と非正社員の比較分析では、賃金が高い正社員ほどやる気がないこともわかっている。

さらに衝撃的なのが、本調査の対象者の年収は30代前半で711万円とかなり高額であるという点だ。日本全体を見回せば、30代で700万円以上稼ぐ人は1割未満である。そんな成功の切符を手にしている希少な超エリート集団ほど、やる気を失ってしまっているのだ。

組織社会化過程の欠損
Nuthawut Somsuk/gettyimages

なぜ、このようなことが起きているのだろうか。理由のひとつには、「組織社会化過程の欠損」が挙げられる。

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要約公開日 2024.04.10
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