武器としての漫画思考

未読
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武器としての漫画思考
出版社
出版日
2023年12月21日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

今の日本で漫画を知らない人はいないだろう。戦後から脈々と蓄積されてきた漫画は、今や押しも押されぬ日本の文化となった。この漫画の優れた点を分析し、それにビジネスにも応用されているインテグラル理論などを融合させたのが本書である。

本書はキャラアート株式会社という企業の代表取締役会長が筆をとる。この人物は、教科書や参考書にほとんど頼らず、漫画を駆使して東京大学理科Ⅰ類に合格したという筋金入りの漫画好きだ。こうした漫画への情熱を組織論に昇華させ、今なお躍進を続けている。

漫画は地位の高いメディアとしては認められてこなかったが、先人たちが研鑽に研鑽を重ねたおかげで、日本の出版業界を席巻する一大メディアへと成長した。その技術と情報量の多さは目をみはるレベルだ。漫画は情報媒体としてどのように優れているのか……著者はここに着目する。いわばミクロ的な分析と言えよう。だが、著者は同時にマクロ的な視野も持ち合わせている。たとえばインテグラル理論を漫画に応用したことは、社会の大きなうねりを漫画の流行から捉えることを可能とした。なぜこの時代にこの漫画が支持されたのか。なぜ今、鬼滅の刃が世に親しまれているのか。著者はそうした問いに明確な回答を用意する。

我々は不透明感のある社会のうねりを模索しながら人生を渡る。そんな中、漫画という優れたメディアを取り入れた本書の思考法は、眼差しに透明感をもたらす光になるだろう。

著者

保手濱彰人(ほてはま あきひと)
1984年生まれ。教科書・参考書をほぼ読まず、漫画を読むだけで東京大学理科Ⅰ類に現役合格。在学中に経済産業省後援のビジネスコンテストで優勝し、起業(東大中退)。「ガイアの夜明け」で1時間特集され、一躍有名となるも、30歳を目前に組織崩壊、社員が全員辞職し借金3億円を抱える。それでも、毎月漫画100冊を読み続け、漫画から学べる組織論を経営に転化。2014年に創業したダブルエル(現キャラアート)社は、わずか5年で年商30億円を達成した。
現在は、日本のポップカルチャー・コンテンツの国際展開を図ることに注力。『鬼滅の刃』『チェンソーマン』『東京卍リベンジャーズ』などヒット作の版権ビジネスで急拡大を達成。お土産×キャラクターという切り口で話題となった「ご当地鬼滅の刃」シリーズは年間700万個を売り上げた。本書が初の著書。

本書の要点

  • 要点
    1
    今でこそ輝かしい経歴を持つ著者ではあるが、そこまでは苦難の連続だった。そこで出会ったのが『寄生獣』だ。この出会いは後の人生を大きく左右する。
  • 要点
    2
    漫画はその優れた表現技法で、さまざまなことを可能とする。情報密度の高さは他のメディアと比較しても非常に高い。漫画は学びに最適である。
  • 要点
    3
    インテグラル理論によって、ある時代になぜその漫画が流行ったかが説明できる。そしてその主人公たちを分析することで、多様な個人の意識についてより深く知ることが可能となる。

要約

漫画が人生を変えた

漫画である必然性
BBuilder/gettyimages

なぜビジネスパーソンは漫画を読むべきなのだろうか。世の中には多くのビジネス専門用語が存在し、それらを解説するすさまじい量のビジネス書がある。読み込んだとて、理解できる保証はない。他方、漫画は世のビジネスリーダーにとってもっともタイムパフォーマンスがいい手段となっている。しかし、その事実に気づいている者はほとんどいない。

「漫画を読めばビジネスがわかる」し、「漫画を読めば仕事が面白くなる」。そうした「戦略としての漫画思考」を世の中に周知させていくのが本書の役割である。

著者は2002年に東京大学理科Ⅰ類に現役合格し、在学中に経済産業省後援のビジネスコンテストで優勝、その様子がテレビ番組「ガイアの夜明け」に取り上げられ、起業を決意した。現在は「キャラアート」というベンチャー企業の代表取締役会長を務め、漫画・アニメを中心とするジャパンコンテンツを使用した事業を展開している。

こうした事業が実を結び、著者が創業した企業群の年商は60億円を超え、取引先企業は1000社以上にものぼる。

しかしながら、つねにこうした華々しい経歴の内にあったわけではない。高校時代の成績は学年最下位レベルで、最初に起業した会社では半年で共同創業者5名全員が離脱。20代最後には事業が負債3億円を抱えて破綻し、倒産寸前にまで陥った。

こうした窮地を救ってくれたのが何を隠そう「『漫画』という教本」だった。著者と漫画の運命的な出会いは学生時代にさかのぼる。当時、勉強嫌いのおかげで学校生活が上手くいかず、大学受験も危ういと周囲にささやかれていた。人生を危惧していた時、著者は『寄生獣』という漫画に出くわす。人類と地球の調和、持続性の高い社会の創造、という当時としては革新的なテーマとその世界観の奥深さに魅了され、一夜にしてシリーズ全巻を読破した。そのクライマックスから得た気づきによって、著者の人生は一気に好転することとなる。

そこから「あらゆる場面において、自らを漫画のキャラクターに投影して考えてみる」という思考を実践し、メソッド化させることで、人生の武器となる漫画思考を確立していった。

なぜ漫画は優れているのか

漫画とは「世界最強の情報伝達媒体」だ。これは著者が長年かけて検証した末に導き出された結論である。

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要約公開日 2024.04.18
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