なぜビジネスパーソンは漫画を読むべきなのだろうか。世の中には多くのビジネス専門用語が存在し、それらを解説するすさまじい量のビジネス書がある。読み込んだとて、理解できる保証はない。他方、漫画は世のビジネスリーダーにとってもっともタイムパフォーマンスがいい手段となっている。しかし、その事実に気づいている者はほとんどいない。
「漫画を読めばビジネスがわかる」し、「漫画を読めば仕事が面白くなる」。そうした「戦略としての漫画思考」を世の中に周知させていくのが本書の役割である。
著者は2002年に東京大学理科Ⅰ類に現役合格し、在学中に経済産業省後援のビジネスコンテストで優勝、その様子がテレビ番組「ガイアの夜明け」に取り上げられ、起業を決意した。現在は「キャラアート」というベンチャー企業の代表取締役会長を務め、漫画・アニメを中心とするジャパンコンテンツを使用した事業を展開している。
こうした事業が実を結び、著者が創業した企業群の年商は60億円を超え、取引先企業は1000社以上にものぼる。
しかしながら、つねにこうした華々しい経歴の内にあったわけではない。高校時代の成績は学年最下位レベルで、最初に起業した会社では半年で共同創業者5名全員が離脱。20代最後には事業が負債3億円を抱えて破綻し、倒産寸前にまで陥った。
こうした窮地を救ってくれたのが何を隠そう「『漫画』という教本」だった。著者と漫画の運命的な出会いは学生時代にさかのぼる。当時、勉強嫌いのおかげで学校生活が上手くいかず、大学受験も危ういと周囲にささやかれていた。人生を危惧していた時、著者は『寄生獣』という漫画に出くわす。人類と地球の調和、持続性の高い社会の創造、という当時としては革新的なテーマとその世界観の奥深さに魅了され、一夜にしてシリーズ全巻を読破した。そのクライマックスから得た気づきによって、著者の人生は一気に好転することとなる。
そこから「あらゆる場面において、自らを漫画のキャラクターに投影して考えてみる」という思考を実践し、メソッド化させることで、人生の武器となる漫画思考を確立していった。
漫画とは「世界最強の情報伝達媒体」だ。これは著者が長年かけて検証した末に導き出された結論である。
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