会食において最も重要なことは何か。良い店を選ぶことだと思うかもしれないが、著者の考えは違う。著者の考えるビジネス会食の本質とは「自分がクライアントをどれほど大切にしているかを伝えること」だ。その意味では「相手に対して徹底的な貸しを作る」ものである接待とは別物だといえる。ほぼ全額をホストが払う接待とは異なり、ビジネス会食は割り勘から持ち合いまでさまざまだ。
そのうえで、著者が思うビジネス会食の定義は「会社の経費を使って開かれるもの」だ。会社の経費を使うからこそ、①ビジネス上の目的を設定し、かつ②ゲストファーストであり、③会食の前後で何らかの変化を生み出すことが求められる。
会食の目的を「相手と仲良くなること」とのみ定義する考え方もあるが、著者は仲良くなった先に何を達成したいかという目的の設定を徹底することを推奨する。そのほうが、会食後に効果を測定しやすいからだ。
ビジネス会食の成否のほとんどは「事前準備」にかかっている。そして、事前準備に必要なのは天性のセンスではなく、正しいメソッドだ。
具体的には、会食当日までに行うべきメソッドが11個ある。なお、いずれのフローでも「前始末」、すなわち事前準備の徹底こそがすべての成果に直結するといったマインドで臨む必要がある。この考えを持っていないと、「直前で店の予約をとれない」「ゲストの苦手なものが会食中に判明する」、といった失態につながる可能性がある。
本書ではフローチャートを記載しているが、業務時間に応じてフローをアレンジしても問題ない。しかし会食までの時間が限られている場合でも必ず行うべきなのは「④選定基準書の作成と上司との合意」だ。この工程をはさむだけで、上司を味方につけることができるからだ。
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