サイゼリヤの法則

なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?
未読
サイゼリヤの法則
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なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?
未読
サイゼリヤの法則
出版社
出版日
2024年03月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ミラノ風ドリア」が人気のイタリアンワイン&カフェレストラン、サイゼリヤ。

「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」という人は見たことがない。なんといっても「ミラノ風ドリア」は2024年5月現在、税込み300円という安さで、他のメニューも同等の価格帯だ。

だが、本書の著者であるサイゼリヤ創業者、正垣泰彦氏は本気で「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と思っているそうだ。正直なところ、要約者は最初「なんと風変わりな人だろう」と思った。

だが「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」の裏には、確固たる理由があった。著者が「サイゼリヤの料理は最高だ! 安くておいしくて申し分がない」と思っていたら、従業員たちがそれで満足し、現状維持できなくなってしまうかもしれないからだ。「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と思っているからこそ、より「安くておいしい」サイゼリヤにすべく、努力を続けていけるのだ。

著者は、60年にわたってサイゼリヤを経営し、育て上げていくなかで、ビジネスや人間のあり方に通じるこの世界の「法則」を見出した。本書では、その内容が「利他」「反省」「調和」「努力」「法則」の5つの章に分けてつづられている。

日本のどこにいても常に安くておいしい料理を提供してくれるサイゼリヤには、人の本能やエゴに負けず、反省と努力を積み重ね、利他と調和で築き上げてきた歴史がある。イタリアンが珍しい時代に創業し、成長を続けてきた企業の根底にある「法則」は、時代の変化に翻弄されがちな私たちに、確かな学びを提供してくれるはずだ。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

正垣泰彦(しょうがき やすひこ)
サイゼリヤ創業者。1946年兵庫県生まれ。67年東京理科大学在学中にレストラン「サイゼリヤ」開業。68年の大学卒業後、イタリア料理店として再オープン。その後、低価格メニュー提供で飛躍的に店舗数を拡大。2000年東証一部上場。2009年4月、社長を退任して代表取締役会長就任。著書に『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』(日経ビジネス人文庫)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「ミラノ風ドリア」を200円近く値下げすると、売上数量は約3倍に増えた。すでに何度も値下げと改善を経てきた人気商品をさらに安くおいしくするのは簡単ではなかったが、一番難しいことこそ、一番喜ばれるものだ。
  • 要点
    2
    悩みのほとんどは、目の前にある現実を拒むことから生じる。「今、目の前にあるものが最高!」と自覚できれば、悩むことでエネルギーをロスせず、結果を出すことに集中できる。

要約

【必読ポイント!】 利他

サイゼリヤの料理は、まずくて高い。

サイゼリヤの料理は、まずくて高い。あんなまずいものを出してしまって、お客様に申し訳ない。サイゼリヤの創業者である著者がそう言うと誰もが驚くが、著者は大真面目だ。

著者が「サイゼリヤの料理は最高だ! 安くておいしくて申し分がない」と言ったら、何が起きるだろう。従業員たちは「もう努力しなくていいんだ」と考え、現状維持すらできなくなってしまうかもしれない。著者自身が、そしてサイゼリヤの従業員みんなが「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と捉えているからこそ、より「安くておいしい」サイゼリヤへ近づくことができ、お客様を喜ばせられるのだ。

「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と言い続けていると、自然と欠点、問題、課題が見えてきて、どんどん進化していける。

一番難しくても、一番喜んでもらえることをしよう。
ARTindividual/gettyimages

サイゼリヤは、昔から「一番儲かることをしよう」ではなく「人に喜んでもらえることをしよう」という気概でやってきた。

お客様の立場で考えたときに、一番喜んでもらえるのは「安さ」ではないだろうか。誰でもお財布を気にせず、お腹いっぱい食べて、仲間たちと語らって、「ああ、楽しかったな」と満足して帰ってほしい……。その思いから、サイゼリヤは断続的に値下げをしてきた。

さほど売れないものを安くするのは、比較的簡単だ。一方で、すでに何度も値下げと改善を経てきた人気商品を、さらに安く、おいしくしていくのは簡単ではない。しかし、これが最もお客様に喜ばれるのだ。

サイゼリヤで最も売れているのは「ミラノ風ドリア」だ。480円で販売されていた頃から大人気商品だった。

そんなミラノ風ドリアを、1999年11月、上場を機に290円に値下げしたところ、さらに爆発的人気となった。原価率は上がり、客単価は下がるため、経営という観点からは、1つもいいことはない。だが、「お客様は必ず喜んでくれる」という確信があったから決断した。結果、売上数量は約3倍になり、お客様の数も激増したのだ。

一番難しいことこそ、一番喜ばれるものだ。あなたの仕事で、一番喜ばれることは何だろう?

創業記念日は、誰も祝わない。

「より安く、よりおいしい料理を提供し、お客様に喜んでもらうこと」にすべてのリソースを投入してきたのがサイゼリヤだ。反対に言えば、この2つに関係のないことにはリソースを割かない。

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要約公開日 2024.06.10
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