アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方

カオスな環境に強い「頭のよさ」とは
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アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
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アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
出版社
出版日
2022年06月04日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

人気サッカーマンガの『アオアシ』。愛媛のサッカー少年・青井葦人が名門サッカークラブ「エスペリオン」のユース監督に才能を見出され、切磋琢磨しながらプロを目指していく青春ストーリーである。アニメ化もされ、本作のファンだという方は多いだろう。

『アオアシ』のユニークな点は、主人公・アシトの「思考力(インテリジェンス)」を成長の軸にしているところだ。その名のとおり、アシトが「考える葦」に育っていく物語なのである。

本書では『アオアシ』を題材に、「自ら考えて動ける人材」になるための、ものの見方と考え方を説いている。著者は楽天大学学長で、『組織にいながら、自由に働く。』などの著書を持つ仲山進也氏だ。昨今はビジネスでも「自分の頭で考えて動く」ことや「自律的な人材」が求められるようになったが、「考えて動く」ことは意外と難しい。視野を広げる、判断する際の価値基準を持つなど、さまざまな「前提」が揃わないと真の意味で自律的な動きはできないからだ。

本書では「自ら考えて動く」ために必要な「思考のフレームワーク」を紹介し、マンガのワンシーンとリンクさせながら説明する。『アオアシ』を読んだことのない人でも理解できるよう、マンガのコマとともに丁寧な解説があるのもありがたい。

上司に「自分で考えて」と言われて途方にくれている人、部下の受け身な姿勢に悩む人、自らのビジネス力をブラッシュアップさせたい人。本書を開き、アシトと一緒に「考える葦」になるためのヒントをつかんでほしい。

ライター画像
木下隆志

著者

仲山進也(なかやま しんや)
仲山考材株式会社 代表取締役/楽天グループ株式会社楽天大学学長 慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、創業期(社員約20名)の楽天株式会社に入社。2000年に楽天市場出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立、人にフォーカスした本質的・普遍的な商売のフレームワークを伝えつつ、出店者コミュニティの醸成を手がける。2004年には「ヴィッセル神戸」公式ネットショップを立ち上げ、ファンとの交流を促進するスタイルでグッズ売上げを倍増。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由の正社員)となり、2008年には自らの会社である仲山考材株式会社を設立、考える材料(考材)をつくってファシリテーションつきで提供している。2016~2017年にかけて「横浜F・マリノス」とプロ契約、コーチ向け・ジュニアユース向けの育成プログラムを実施。20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を見続け支援しながら、消耗戦に陥らない経営、共創マーケティング、指示命令のない自律自走型の組織文化・チームづくり、長続きするコミュニティづくり、人が育ちやすい環境のつくり方、夢中で仕事を遊ぶような働き方を探求している。「子どもが憧れる、夢中で仕事をする大人」を増やすことがミッション。
「仕事を遊ぼう」がモットー。著書に『組織にいながら、自由に働く。』(日本能率協会マネジメントセンター)、『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』(講談社)、『「組織のネコ」という働き方』(翔泳社)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    思考力のベースとなるのは「言語化」だ。「自分で考えて動ける人材」になるには、「観察→判断→実行」ループを回すことである。
  • 要点
    2
    観察力をつけるには、「視点」を獲得して使いこなす必要がある。視点を知らない、もしくは固定された状態にあると、同じものを見ていても違うものが見えてしまう。
  • 要点
    3
    判断は「価値基準×入力情報」と表せる。よい判断をするにはよい価値基準を持つ必要があるが、価値基準は常に自分で決められる。
  • 要点
    4
    テクニックの習得は、「仮説→試行→検証→規範化」を高速回転させることが肝となる。「検証」ではやったことをふりかえり、言語化することが大切だ。

要約

考えない葦

「自分で考えて動く」とは

田舎町の中学サッカー部でプレーをしている青井葦人(アシト)。ある日アシトはプロサッカークラブ「エスペリオン」のユース監督に見出され、ユースチームに入団する。しかし入団早々、ジュニアユースからの昇格組とのレベルの違いに圧倒されてしまう。

コーチはアシトの“致命的な欠陥”に気づき、「プロになれない」と告げる。その欠陥とは「思考力のなさ」。アシトは、「考えない葦」だったのである。

思考力のベースとなるのは「言語化」だ。ストーリーが進む中で、アシトは試行錯誤をしながら言語化力を磨き、自らの才能の活かし方を理解していく。アシトの気づきや成長していくプロセスは、良質な仕事のヒントになるはずだ。

次章より「思考のフレームワーク」の中心となる「観察→判断→実行」ループを、「自分で考えて動ける人材」の観点から解説する。

観察

知らないものは見えない
matimix/gettyimages

ある脳学者によると、脳は知識がないものについては認識ができないという。つまり「知らないものは見えない」のである。

アシトはユースチーム入団直後、紅白戦でチームメイトとプレーがかみ合わず、ジュニアユース出身の黒田選手からこう言われる。「パスからメッセージが伝わらないの? それ以前に、僕らのポジショニングやボールの運び方を見たら、意図くらい察知できるはずだ」。

黒田はじめ昇格組は「ポジショニング」「ボールの運び方」「パスのメッセージ」という共通の視点やセオリーを持っているが、部活上がりのアシトにはそれがない。そのため、黒田と同じ状況を見ているのに認識ができず、アシトは「何を言われているのかわからない」状態に陥ってしまう。

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要約公開日 2024.06.14
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