〈新版〉日本語の作文技術

未読
〈新版〉日本語の作文技術
〈新版〉日本語の作文技術
未読
〈新版〉日本語の作文技術
出版社
朝日新聞出版

出版社ページへ

出版日
2015年12月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

文章術の本は数多く存在する。それだけ多くの人が文章の書き方に悩んでいるということだろう。文章術の定番本もいくつも存在するが、そもそも文章のセンスがなければ実践できないようなコツが掲載されているものも少なくない。たとえば、複数の修飾語を並べるときには誤読が起こらないようにすべきであるというのはもっともな主張であるし、文章を書くコツとしてよく聞く心がまえである。しかし、そうは言われても、自分で書いた文章が誤読されそうかどうかを判断すること自体が難しい。そうでなければ、わかりにくい文章など生まれるはずがないのである。

本書『〈新版〉日本語の作文技術』は、シリーズ累計100万部を突破した文章術のロングセラーであり、定番中の定番本である。本書に特徴的なのは、文章技術向上のための、極めて具体的な判断基準を提示していることだ。誤読を少なくするための修飾語の語順のルールも極めて明快だ。その1つは、「長いものを前」にすることだ。ここまで簡単なルールであれば、文才がなくてもすぐに真似することができる。たったこれだけで文章はわかりやすくなる。

句読点の打ち方や助詞の使い方など、多くの人が「なんとなく」ですませてしまっている文法事項に対しても、具体的なルールを提示していく。本書を一冊読み通すだけで、作文技術の何たるかを理解し、実践することができるようになるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

本多勝一(ほんだ かついち)
1931年、信州・伊那谷生まれ。
『朝日新聞』編集委員を経て『週刊金曜日』編集委員。
著書『旅立ちの記』(「本多勝一集」第2巻=朝日新聞社)
『知床半島』(同第6巻=同)
『ソビエト最後の日々』(同第30巻=同)
『非常事態のイラクを行く』(貧困なる精神・Q集=同)
『「真珠湾」からイラクまで』(同S集=同)
『石原慎太郎の人生』(同N集=同)
『大江健三郎の人生』(同X集=毎日新聞社)
『アメリカは変ったか?』(「週刊金曜日」別冊ブックレット=KK金曜日)
『「英語」という〝差別〟「原発」という〝犯罪〟』(貧困なる精神・24集=同)
『逝き去りし人々への想い』(講談社)
『本多勝一の戦争論』(新日本出版社)
『本多勝一の日本論』(同)
『本多勝一、探検的人生を語る』(同)

本書の要点

  • 要点
    1
    本書が扱う「実用的」な文章のための作文技術の目的は、「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」である。「わかりやすい文章」を書くことは技術であり、誰でも学習可能である。
  • 要点
    2
    わかりやすい文章を書くために最初に押さえておきたいのは、修飾語の語順に関する4つの原則である。
  • 要点
    3
    日本語において、助詞は文章全体の構造を支配する役割を持つ重要な品詞である。西欧文法にならって「主語」と規定される「〜ハ」は、他の格と同等の格と見なしたほうがすわりがいい。

要約

作文は「才能」ではなく「技術」である

わかりやすい文章は、だれにでも学習可能である

本書の作文技術が対象にする文章は、あくまでも実用的なものであって文学的なものは扱わないことを前提としたい。言葉の芸術としての文学は、作文技術的センスと全く異なる次元にあるものである。「事実的」あるいは「実用的」な文章のための作文技術の目的は、「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」につきる。

著者の周囲にでさえ、著者には及ばぬような名文を書く人や、技術的に立派な文章を書く人がいる。そうした人をさしおいて、このような本を書くのは、むしろ著者は文章がヘタだからだという。

「名文」や「うまい文章」というのは一種の才能である。著者は就職して新聞記者になったが、名文を書く才能は自分にはないとあきらめた。しかし、これまで努力してきて、文章をわかりやすくすることはできるようになった。これは才能ではなく技術の問題だ。

技術である以上、「わかりやすい文章」はだれにでも学習可能なはずだ。「技術」としての作文を、これから論じていこう。

修飾する側とされる側

第一原則 節を先にし、句をあとにする。
Charnchai Guoy/gettyimages

ここに一枚の紙があるとしよう。これを形容する修飾語を次に並べてみる。

白い紙

横線の引かれた紙

厚手の紙

ここで挙げた3つの修飾語をひとつにまとめて、「紙」という名詞にかかる修飾語を作るなら、どういう順番にすればいいだろうか。まず、挙げた順にただ並べてみるとこうなる。

白い横線の引かれた厚手の紙

これだと、「白い横線」の引かれた紙、つまり横線が白いと解釈できる。では、反対から並べるとどうなるだろうか。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2795/3472文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.06.15
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2024 本多勝一 All Rights Reserved. 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権は本多勝一、株式会社フライヤーに帰属し、事前に本多勝一、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料の活用、およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
一緒に読まれている要約
図解 人的資本経営
図解 人的資本経営
岡田幸士
未読
アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
仲山進也
未読
EQ
EQ
ダニエル・ゴールマン土屋京子 (訳)
未読
夢を叶えるために脳はある
夢を叶えるために脳はある
池谷裕二
未読
生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方
生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方
梶谷健人
未読
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
大田黒奉之(訳)レジー・フィサメィ
未読
AIガバナンス入門
AIガバナンス入門
羽深宏樹
未読
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
大山健太郎
未読