生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方

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生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方
出版社
出版日
2024年02月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

生成AIへの注目が集まる中、関連書籍が次々と発刊されている。その多くは生成AIについての概要を記したものや、「ChatGPTのプロンプトの書き方」といった実用書が大半だ。しかし、「生成AIを利用した事業やプロダクト、サービスをつくるにはどうしたらいいか」という事業者目線の本は、ほとんどないのではないだろうか。

本書は、生成AIを使った新規ビジネスのつくり方、既存事業への取り入れ方、そして組織のつくり方など、経営層や事業リーダーが今まさに知りたいことが詰まった一冊だ。それらとともに、生成AIを利用した業務活用テクニックにも触れている。

いくら「生成AIがすごい」と世間で騒がれていても、自社の業務や事業に取り入れる速度は組織によって様々だ。例えば「DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要だ」とわかっていても、既存のやり方を続ける方がラクなため、なかなかDXが進まないというのはよくある例の1つだ。それと同様に「会社のトップの

理解がない」ことで、生成AIの導入に踏み切れない企業も少なくないだろう。本書ではそれを打破する具体的なアクションについても説明している。

要約では、生成AIを使った事業づくりのポイントや、生成AIがもたらす社会・業界変化、組織変革のステップなどを中心にまとめた。本書を「生成AI時代のビジネスづくり」の教科書として、フルに活用いただきたい。

ライター画像
霧島大和

著者

梶谷健人(かじたに けんと)
株式会社POSTS 代表取締役CEO
株式会社VASILYにてグロースや広告事業を担当し、共著 「いちばんやさしいグロースハックの教本」(インプレス)を出版。フリーランスとして大手ブランドやスタートアップの新規プロダクト立ち上げとサービスグロースを支援。2017年にXR/メタバース領域のスタートアップMESONを創業。大手通信キャリアや大手アパレル企業などと共同でのサービス開発や、独自のXRフレームワークの開発などの事業を展開。その後POSTSを創業し、現在は生成A Iなどの先端テクノロジーやプロダクト戦略を軸にしたアドバイザーとして10社以上の顧問に従事。X (Twitter):@kajikent

本書の要点

  • 要点
    1
    生成AIの登場によって、歴史的な転換が急速に訪れている。今後は個人も企業も、生成AIの活用レベルが大きな差を生み出す時代になる。
  • 要点
    2
    生成AI領域で成功する事業・プロダクトをつくるには、「意義」のデザインと「意味」のデザインがカギとなる。
  • 要点
    3
    2040~2045年の社会では、AIは「人間の脳の新しいレイヤー的存在」になるだろう。生成AIはさらに進化し、100倍、1000倍規模の業務効率化も夢ではない。
  • 要点
    4
    これからは「生成AIネイティブ」な組織のみが生き残る。将来を見据えて組織をアップデートしていくことが、これからの組織運営に必要だ。

要約

生成AIがもたらすインパクト

生成AIの活用レベルが大きな差を生む時代に
Shutthiphong Chandaeng/gettyimages

生成AIの登場により、歴史的な転換点が「急速」に訪れている。生成AIサービスの代表格であるChatGPTは、本格ローンチからたった2カ月でMAU(1カ月あたりのアクティブユーザー数)が1億人を突破した。TikTokの9カ月、Instagramの30カ月と比較しても、一般の人々への浸透の速さは際立っている。

この急速な変化は、企業にも大きなインパクトを与えている。例えば、これまではソフトウェアサービスは既存の産業やサービスをディスラプト(破壊)する立場だったが、今や生成AIにディスラプトされる立場になっている。実際、Googleは自社の検索広告ビジネスが深刻なダメージを受ける可能性を危惧し、2022年末に社内に非常事態宣言を出した。

一方で、生成AI領域では評価額が10億ドルを超えるユニコーン企業が多数誕生している。その象徴的な企業の1つがSynthesiaだ。Synthesiaは、原稿を入力するとリアルな動作と発音で話すAIアバター動画が生成されるサービスで、既に5万社以上が導入している。

生成AIのインパクトは個人にも及んでいる。マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートでは、従業員の業務時間の約6〜7割が節約できる可能性があると報告している。また、ボストン コンサルティング グループのコンサルタント758人を対象とした実験では、AIを活用したコンサルタントは、活用しなかったコンサルタントに比べてタスクを平均25%早く完了し、40%高い品質のアウトプットを出したという。中でも注目すべきは、「ローパフォーマー」を含む全体が底上げされたことだ。これは、パフォーマンスの低い従業員でも、生成AIの手を借りれば大幅に改善できる可能性を示唆している。

個人にせよ企業にせよ、今後は生成AIの活用レベルが大きな差を生む時代になるだろう。

企業は生成AIをどう活用すべきか

企業が生成AIを活用する場合、「生成AIネイティブな事業・プロダクトづくり」と「生成AIを使った生産性改善」の2つに分けられる。両方を同時に進められればいいが、経営層の理解が得られない、予算の確保ができず取り組めないといったことも起こりうる。

そうした企業には次のステップをお勧めする。まず、生成AI領域の社外の有識者に、勉強会を開いてもらうことだ。勉強会には、予算を動かす権限を持つ経営層にも参加してもらおう。著者もこの種のセミナーを何度も開催しているが、経営者のスタンスが大きく変わることを実感しているという。

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要約公開日 2024.06.19
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