図解 人的資本経営

50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる
未読
図解 人的資本経営
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50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる
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図解 人的資本経営
ジャンル
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2024年01月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年話題になっている経営手法に「人的資本経営」がある。経済産業省によると、人的資本経営とは「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」だという。なんとなく「人を大事にすること」なのはわかるが、具体的には何をどうすればいいのだろうか。本書では50の「問い」が設定されており、それにひとつずつ答えていくことで、自分の組織ならではの人的資本経営が掴めるようになっている。

「問い」の形式をとっているのは、一般論や形式を覚えるだけでは、人的資本経営をすることが難しいからだそうだ。組織のあり方はその組織によって異なるため、それぞれに合った形で実践しなければ成果は期待できない。「問い」に答えるという形式をとることで、自分の組織の最適解が見つけられるばかりでなく、考え方そのものを身につけられるので、変化に合わせて柔軟に対応できるようになるのが本書の狙いだ。本書の「問い」を自社に当てはめていけば、論理的で再現性の高いフレームワークが身につけられるだろう。また、一目で理解できるよう、図解がふんだんに盛り込まれているのも嬉しい。

経営者や人事担当者はもちろん、「チームのパフォーマンスを上げたい」「部内の雰囲気を改善したい」といった悩みを抱えるリーダー層にも手に取っていただきたい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

岡田幸士(おかだ こうじ)
ルヴィアコンサルティング株式会社 共同経営者
神戸大学金井ゼミで組織行動論を学び、日本マクドナルドで人事を経験。16万人の社員・アルバイトの人材マネジメントに携わる。その後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社の組織・人事コンサルティング部門に移り、2年で全社トップ3%の評価を受ける。2020年に独立して現職。
これまで大企業から、地場の企業様、IPO前後のベンチャー、企業再生・民事再生中など、様々な企業様のご支援をしており、クライアント企業様の売上規模累計は60兆円を超える。著書に『最強組織をつくる人事変革の教科書』(共著)がある。
ルヴィアコンサルティング株式会社:
https://luvir.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    人的資本経営とは、「人」を資本と捉え、合理的・戦略的に投資を行うことである。
  • 要点
    2
    近年、組織における「人」の重要性が見直されている。その背景には、「人」が生み出す無形資産の市場価値向上や、企業に持続可能な経済成長や社会貢献が求められていることなどが関係している。
  • 要点
    3
    「競争に勝つ」企業になる最初のポイントは、戦略実現に必要な人の量と質を定める「人材ポートフォリオ」の策定と「組織文化」の構築だ。

要約

【必読ポイント!】 人的資本経営の基本

「人」は企業の「カチ」を決める

現在、組織における「人」の重要性が見直されており、人的資本経営が求められている。その理由には2つの「カチ」が関わっている。

1つは、企業の「勝ち」(競争力)を生み出す源泉が「無形資産」に移っていることだ。アメリカ株式市場の時価総額は90%が無形資産、つまり、見えない資産によってもたらされているというデータがある。見えない資産にはソフトウェアや知的財産なども含まれるが、これらを生み出す源泉は「人」だ。企業における最大の資産が「人」であることは、世界の共通見解となっている。

もう1つは、企業が生み出す社会的「価値」が重視されるようになっていることだ。企業はかつての株主第一主義から脱却し、顧客や従業員、地域社会を含むすべてのステークホルダーを重視することが求められている。利益だけを目的にするのではなく、持続可能な経済成長や社会貢献を目指すことがスタンダードになってきているのだ。

「人」は企業の「勝ち」を決める存在であり、企業が「価値」を提供すべき存在であるといえる。

人的資本経営とは何か
jacoblund/gettyimages

経済産業省は「人的資本経営」を次のように定義している。「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」。

だが、日本企業ではこれまでも「人を大切にする経営」を行ってきたはずだ。それと「人的資本経営」とは何が違うのだろうか。

それは、「人材を『資本』として捉える」点である。「資本」は「資源」のように消費されるものではなく、収益を生み出す源泉のことを指す。しかし「人材を『資本』として捉える」とは、単に「人材を使い捨てにしない」ということではない。人を「投資する量によって価値が変わる資産(可変資本)」と捉えることなのである。

人的資本経営では、通常の投資と同様に、合理的な視点で人材への投資判断をすることが求められる。一方で「理性」だけではなく、日本的経営の根底にある“人を大切にすること”、つまり「人情」も必要だ。

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要約公開日 2024.06.16
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