近年の世界情勢は先の読めない変化が続いている。このような状況下で企業の成長を促すにはグローバル化とデジタル化が必須であり、この変化は個々人の働き方にも大きな影響を及ぼす。革新的な商品やサービスの登場により既存市場の主役が瞬時に入れ替わってしまう今、過去の価値観にとらわれない構想力が求められている。ビジネスをIT技術でどう実現するかではなく、テクノロジーとビジネスを同等に捉え両者をつなげる実行力が必要だ。
アクセンチュアでハイパフォーマー約8000名の力量を調査・分析した結果、成功者には3つの共通因子があることが判明した。それは、「構想力」、「人間関係構築力」、「実行貫徹力」だ。一つ目は未来を描くための「構想力」だ。これはより良い将来像を想像し企業に提案する力を指す。長期的な視点での将来像と修正可能な短期的見通しの二つの側面で状況を捉え、データや資料を根拠とし提案する力も求められる。次は、多様な人材を活かせる「人間関係構築力」だ。より大きな成果を出すためには、同僚や上司など多くの人の協力が不可欠となる。自社内に解決のノウハウがない場合は外部の人材も巻き込むことも、必要になるだろう。最後に、成果を出すまで行う「実行貫徹力」だ。業績の差とは、戦略や構想ではなくその実行度合いにある。構想段階にとどまらず最初の一歩を踏み出し早く成果にたどりつく力が求められる。
先程挙げた3つの力がハイパフォーマーの基本条件としたが、ハイパフォーマーには誰でもなれる。高い成果を出す人材はシンプルな発想で行動に移しており、だからこそ成果の再現性が高いと言える。基本の形を理解し、自分に合った型を体得していくことが重要なポイントだ。
ハイパフォーマーを目指すための1つ目のルールは、自分で成長の方向性を決めることだ。周囲の意見をより所に方向性を決めるのではなく、「自分ならどうしたいか」と自分の物差しで評価し判断することが大事だ。2つ目のルールは、セルフハンディキャップを外すことだ。人は誰もが変わると決意した瞬間に変われるものであり、「自分はハイパフォーマーだ」と思い込む姿勢が大切だ。「自分なんてどうせ無理」と自ら足枷を作るのではなく、「やる価値があるかどうか」に焦点を絞るなど判断基準を変えることがポイントとなる。3つ目のルールは、自分自身が唯一無二の存在になるために、現状の仕事でナンバーワンを目指すことだ。そのためには、意外性のある二つを掛け合わせた新市場の構築や、仕事を細分化しナンバーワンになれる分野を選定する方法がある。自分が提供できる価値、つまり「自分ならではの希少性」がどこにあるかをつかむことが重要だ。
社会や企業が目まぐるしく変化する中、社員一人一人にも学ぶ力が求められる。「学ぶ」とは一概に勉強することばかりでなく、仕事に対する姿勢や視点といった日々の心掛けからも多くの学びがある。他人を比較対象とするのではなく、「成長の年輪」、つまり昨日の自分との比較を行うべきである。
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