どうしてあの人はクリエイティブなのか?

創造性と革新性のある未来を手に入れるための本
未読
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どうしてあの人はクリエイティブなのか?
出版社
ビー・エヌ・エヌ新社

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出版日
2014年10月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「天才的なアイデアは、一部の生まれつき創造的な人が、直感的にひらめくもの」、「高度な専門知識を持った人こそがクリエイティブな解決策を見いだせる」。まことしやかに語られている「創造性」についての数々の迷信。これらを科学的研究や革新的企業の事例研究によって一刀両断していくのが本書である。

筆者は、適切な条件がそろえば誰でもクリエイティブになり得ると主張する。では、どうすればイノベーションにつながる画期的なアイデアを生み出せるのか。この本では、11の迷信を鮮やかに覆しながら、創造性を発揮するために必要な考え方が解き明かされていく。例えば「人のアイデアを否定せず、一体感のある職場の方が創造的になれる」と聞くと、つい信じてしまいそうになる。ブレーンストーミングでも「ほかの人の意見を否定しない」というルールがある。しかし実際は、建設的な衝突や批判が起こらないと、革新的なアイデアに昇華させることは難しいという。意外性とスリルあふれる展開にひきこまれてしまい、目から鱗が落ちる瞬間をいくたびも味わえるのがこの本の特長だ。

また、3Mやフェイスブック、ピクサーなど、創造性を発揮している企業の具体的な工夫が随所に紹介されているため、読んだそばから「自社に応用するための実践的なヒント」が得られるだろう。マーケティングや商品企画、宣伝などに携わる人だけでなく、クリエイティブな組織づくりにまい進する経営者やマネージャーにとっても必携の「創造性のバイブル」である。

ライター画像
松尾美里

著者

デビット・バーカス
オーラル・ロバーツ大学卒業後、オクラホマ大学で組織ダイナミクスの修士号、リージェント大学で戦略的リーダーシップの博士号を取得。現在はオーラル・ロバーツ大学にて創造性、イノベーション、起業家精神、組織的行動について教えている。また、リーダーシップ、イノベーション、戦略に関する最新研究から得た知見をシェアする電子出版ウェブサイト、LDRLBの創設者兼エディターでもある。創造性、イノベーションに関する研究結果を数々の学術誌や専門誌で発表したり、ウェブサイト『99U』および『クリエイティビティ・ポスト』に寄稿したりしている。また、新興企業からフォーチュン500選出企業、アメリカ海軍兵学校まで幅広い人々に向けて、リーダーシップとイノベーションについての講演を行っている。現在は妻と息子とともにオクラホマ州タルサに在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    創造性に影響を与えるのは、分野に関するスキル、創造性に関連するプロセス、タスク・モチベーション、社会的環境の4つの要素であり、これらの条件がそろえば誰でもクリエイティブになれる可能性がある。
  • 要点
    2
    イノベーションにつながるアイデアを生み出すには、準備、培養、ひらめき、評価、精錬の5つの段階からなる創造的プロセスを踏む必要があり、「ひらめき」はプロセスの一部に過ぎない。
  • 要点
    3
    内因性の動機は、インセンティブのような外因性の動機よりも、クリエイティブな成果とのつながりがはるかに強いという傾向がある。

要約

【必読ポイント!】 クリエイティブの迷信

創造性に影響を及ぼす4つの要素
a-poselenov/iStock/Thinkstock

創造性は、謎めいたプロセスゆえに、古来は神の恵みによるものと考えられてきた。

しかし創造性は、適切なエコシステムを設計し、そこに適切な訓練を受けた幅広い視野をもつ人々を集めることで向上させられる。つまり適切な条件下では、誰でも優れたアイデアを生み出せるのだ。ハーバード・ビジネススクール教授の、テレサ・アマバイルによると、創造性は次の4つの要素の影響を受ける。

(1)分野に関するスキル

特定分野の知識や技術的スキル、才能を意味する。企業では、研修やジョブローテーションなどによって向上させることができる。

(2)創造性に関連するプロセス

ある問題に対処し、解決策を生むための方法である。共感性が高く、リスクを恐れない自立した人はこのプロセスが得意であるが、それ以外の人も学習によってこのスキルを身につけることは可能だ。

(3)タスク・モチベーション

ある課題を解決したいという欲求や達成感、情熱のこと。仕事やプログラムの設計次第で、個人のやる気を引き出すことができる。

(4)社会的環境

4つの中で唯一外的要因となる。取り巻く環境がそこで活動する人々の創造性を大きく左右するため、最重要な要素だと言える。

つまり、ある程度の専門知識を持った人が、創造性を奨励される環境で心からやる気になったとき、最高の創造性を発揮でき、イノベーションを起こすことができるというわけだ。クリエイティブであることには、さまざまな迷信が信じられているが、それでは間違った答えにたどりついてしまう。次項以降では、そうした迷信を明らかにし、クリエイティブになるための考え方を紹介する。

「ひらめいた」の迷信

「ひらめき」の前後には何があったか
Dennis Cox/iStock/Thinkstock

私たちは創造的なアイデアを突然ひらめいたかのように語りがちで、ひらめきを得る前後の努力については注目しない。ところが、アイデアを思いつくのは単なる幸運ではない。

ニュートンが、頭の上にリンゴが落ちてきたことで万有引力の法則を発見したというエピソードは有名である。しかし、歴史的証拠によると、ニュートンは引力が天体の動きに与える影響について、この時点で既に研究していた。そして、リンゴが落ちてきたとたんにその疑問が解けたわけではなく、引力の法則を数式化して発表するまで、その後何年もかかっている。

天才的なアイデアは、突然のひらめきのように語られることが多いが、発案者たちはその前後にたいへんな努力を重ねているのだ。

「ひらめき」は創造的プロセスの一部

心理学者のチクセントミハイが、クリエイターの思考プロセスを研究した結果、彼らのほとんどが、準備、培養、ひらめき、評価、精錬の5つの段階からなる創造的プロセスを踏んでいることが判明した。ここでの「培養」とは、目下のプロジェクトからしばらく離れる段階を指し、準備段階で培った知識が消化され、アイデアが無意識にまとまっていくことをいう。数日から数年の培養期間を経てやっと、ひらめきの段階に達するのだ。

また、あるタスクを継続的に行うよりも、途中で中断して関連のないタスクを行った方が、そもそものタスクのアイデアを多く生み出せることが判明した。

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要約公開日 2015.03.03
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