「感動体験」で外食を変える

丸亀製麺を成功させたトリドールの挑戦
未読
「感動体験」で外食を変える
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丸亀製麺を成功させたトリドールの挑戦
未読
「感動体験」で外食を変える
出版社
出版日
2024年09月06日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

人気うどんチェーンの「丸亀製麺」。丸亀製麵といえば、ライブキッチンを思い出す方は多いのではないだろうか。

職人さんが粉からつくる手打ちうどん。白い湯気が上がる大きな釜からは、アツアツのうどんが茹で上がる。その様子は見ていて楽しく、ワクワクした気分になる。

本書は丸亀製麵を中心に、著者・粟田貴也氏率いる「トリドール」の創業ストーリーから経営戦略までを記した一冊だ。約40年前、小さな焼き鳥屋からはじまったトリドールは、今では世界28の国と地域に展開するグローバルカンパニーに成長した。

競争と新陳代謝の激しい外食産業で、なぜここまで大きくなれたのか? 著者はその理由を、トリドールが「強み」と「人」を大事にし続けてきたことだと語る。強みとはずばり、「感動という体験価値」だ。たとえば、丸亀製麺はすべての店で職人が粉からうどんを打っている。サイドメニュー含め、オーダーや売れ行きにあわせて調理をするため、スタッフの数も多い。効率やコストを考えると正解には見えないが、どんなに店舗が増えても、それを捨てなかったことが成長の最大の要因なのだという。

私たちが外食をするとき、なぜその店を選ぶのだろう。お腹を満たすことは大事だが、それ以外の「何か」を求めているはずだ。それこそがワクワクであり非日常感であり、つまるところ「感動」なのではないだろうか。

本書はノンフィクションとして楽しめる一方、経営本としても学びが多い。ぜひ多くの方に手に取っていただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

粟田貴也(あわた たかや)
株式会社トリドールホールディングス代表取締役社長兼CEO
1961年兵庫県神戸市生まれ。兵庫県立加古川東高等学校卒業、神戸市外国語大学中退。1985年、兵庫県加古川市に焼鳥店「トリドール3番館」を創業。1990年に有限会社トリドールコーポレーション設立。2000年に丸亀製麺の国内1号店を出店。2006年東証マザーズ上場、2008年東証一部上場、2016年株式会社トリドールホールディングスへ商号変更。「食の感動で、この星を満たせ。」をスローガンに掲げ、唯一無二の日本発グローバルフードカンパニーを目指す。

本書の要点

  • 要点
    1
    1985年、著者は兵庫県加古川市に小さな焼き鳥屋を出店した。「いずれは3軒持ちたい」という思いから、店名を「トリドール3番館」にした。
  • 要点
    2
    香川県の小さな製麺所でうどんを食べたことが、「丸亀製麺」誕生のきっかけとなった。
  • 要点
    3
    人を惹きつけるのは、食の「感動体験」だ。
  • 要点
    4
    店のチェーン化には「標準化」の罠がある。しかし、一番の強みを手放さなければ人気を損なうことはない。
  • 要点
    5
    コストカットや効率化より「繁盛店をつくること」が大切だ。それが結果的に持続的な出店につながる。

要約

夢を現実にしてきた道のり

初号店なのに「トリドール3番館」

「どうしたらお客様が来てくれんねん……」。トリドールグループとして1900店以上を展開する今も、著者は創業したてのころの夢をみる。

1985年8月24日、著者は兵庫県加古川市にカウンター10席だけの小さな炭火焼き鳥居酒屋を出店した。店名は「トリドール3番館」。まだ1軒目なのに、「いずれは3軒持ちたい」という思いから命名した。

開店したはいいが、お客様が来ない。開店後しばらくは1日に数名来ればいい方で、まったく来ない日も珍しくなかった。どうしたらお客様が来てくれるか。ただそれだけを考えて、やきもきする日が続いた。

そんなある日、閉店後にお客様が深夜営業のラーメン屋に連れて行ってくれた。そのラーメン屋はとても繁盛していた。周辺には深夜営業の店がなかったため、ラーメン屋に人が集中していたのだ。著者はこれを商機とし、翌日から営業時間を午前2時まで延ばした。すると口コミが広がっていき、店は繁盛するようになった。

そして3年後、ついに2号店を出した。そして創業から7年目、目標だった3軒目を出店。「トリドール3番館」がついに実現したのだ。

わけもわからず上場を目指す
焼き鳥とりどーる

それから郊外にファミレス風の焼き鳥店を出したところ、ファミリー層に人気となった。するとコピー店も出てきて「もっと出店してシェアを取らないと」と焦りが募ったが、何店舗も出せるほどの資金はなかった。

当時はITバブルで、IT社長たちが次々と上場していた。著者はそのニュースを見て「上場すればこんなに大金が入るのか」と驚き、資金調達のために上場を目指すことにした。

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要約公開日 2024.12.04
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