「どうしたらお客様が来てくれんねん……」。トリドールグループとして1900店以上を展開する今も、著者は創業したてのころの夢をみる。
1985年8月24日、著者は兵庫県加古川市にカウンター10席だけの小さな炭火焼き鳥居酒屋を出店した。店名は「トリドール3番館」。まだ1軒目なのに、「いずれは3軒持ちたい」という思いから命名した。
開店したはいいが、お客様が来ない。開店後しばらくは1日に数名来ればいい方で、まったく来ない日も珍しくなかった。どうしたらお客様が来てくれるか。ただそれだけを考えて、やきもきする日が続いた。
そんなある日、閉店後にお客様が深夜営業のラーメン屋に連れて行ってくれた。そのラーメン屋はとても繁盛していた。周辺には深夜営業の店がなかったため、ラーメン屋に人が集中していたのだ。著者はこれを商機とし、翌日から営業時間を午前2時まで延ばした。すると口コミが広がっていき、店は繁盛するようになった。
そして3年後、ついに2号店を出した。そして創業から7年目、目標だった3軒目を出店。「トリドール3番館」がついに実現したのだ。
それから郊外にファミレス風の焼き鳥店を出したところ、ファミリー層に人気となった。するとコピー店も出てきて「もっと出店してシェアを取らないと」と焦りが募ったが、何店舗も出せるほどの資金はなかった。
当時はITバブルで、IT社長たちが次々と上場していた。著者はそのニュースを見て「上場すればこんなに大金が入るのか」と驚き、資金調達のために上場を目指すことにした。
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