精神保健学において、中高年とは45歳から65歳くらいまでを指す。経験や知識を積み上げた「人生の成熟期」であると同時に、身体の衰えが徐々に進み「老い」を意識させられる時期でもある。
職業人としても成熟期を迎えるが、過去の経験が時代に合わずマイナスになることもある。また、適応力の低下により、社会変化に対応できないことでストレスを溜め、精神の健康を損ねる危険性もある。
中高年がリストラに遭うと、若手以上に辛い状況に立たされやすい。これまでの実績を反故されたショックに加え、転職の選択肢も狭い。また、不採算部門の切り捨てによる部署異動は、これまでの経験が生かせないことから苦労を強いられる。
この世代は愛社精神が強く、会社に縛られた人生を送ってきた。そのため、いざリストラに直面すると損した気分になりやすい。
現代の中高年は、「自分たちは我慢してきたけど、若者たちは自由に振る舞っている」という「はざかい期」にいる。これをポジティブに受け入れるのは難しいことだ。
中高年になると、職場での立場に差が開いてくる。組織人はポスト争いに巻き込まれ、思うような地位を得られないと自信喪失から精神を病むこともある。
ただ、競争を勝ち抜いても安泰とはいえない。役職が上がるとともに仕事や責任の範囲が広がり、人間関係も複雑になる。部下の扱いの気遣いに苦労する人もいるだろう。
中高年になると、心身の機能低下が目立ちはじめる。無理がきかなくなるのに頑張ろうとして、病的疲労から気分が落ち込んだり自責の念が生じたりする。これを精神保健学では「昇進うつ」と呼ぶ。
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