傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考

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傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考
出版社
出版日
2024年08月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「些細なことで、あれこれ思い悩んでしまう」「心を塞ぐ出来事があると、そこにとらわれがち」「傷つくのが怖い」。1つでも当てはまるものがあれば、本書をぜひ読んでほしい。

著者は、曹洞宗の住職で、「世界が尊敬する日本人100人」にも選出された枡野俊明氏だ。『人生を整える禅的考え方』『放っておく力』など、数多くのベストセラーを手掛けてきた。そんな著者が「禅僧はみな図太い」と語るのは意外ではないだろうか。

図太いというと、他人の心に土足で踏み込むような、無神経なイメージが湧くだろう。だが、本書が説く図太さはそれとは違う。「生きていくうえで心を強く持っていられる態度の源流」だというのだ。困難に直面しても押しつぶされないたくましさ。落ち込んでもすぐに立ち直るしなやかさ。そして、批判を受けても「まぁいいか」と受け止められるおおらかさ。こうしたものは、図太さの土壌の上に培われるものだという。

著者自身は、禅的な生活を通じて、心の図太さが育っていったそうだ。禅の教えを念頭に思考し、行動すると、穏やかに生きていくための「真の図太さ」を培っていける。本書では、そのための具体的なアドバイスが、著者の優しい語り口で紹介されていて、読み進めるにつれ心が洗われていく。

人間関係の悩みに心を乱されず、しなやかに生きたいと願う方に、本書をおすすめしたい。禅の教えが、あなたの心をほぐしてくれるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。
2006年『ニューズウィーク』日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。おもな作品にカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。
主な著書に『捨てること、離れること』『人生を整える禅的考え方』(だいわ文庫)、『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(知的生きかた文庫)、『心をととのえるスヌーピー』(光文社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    図太い人は相手の言動に対していい意味で鈍感、おおらかである。図太さは繊細ささえも大いなる魅力に変える。
  • 要点
    2
    人間関係においては、きっちりではなく、ゆるく、ざっくり先を読むのがよい。
  • 要点
    3
    立ち直りが早い人は、気持ちの切り替えがうまい。落ち込んだときに、禅の考え方としておすすめなのが掃除をすることだ。
  • 要点
    4
    究極の図太さとは、「ただの人」として生きることである。

要約

ちょっと図太くなって、たくましく生きる

図太い人は、人間関係もいい意味で「鈍感」

仕事でもプライベートでも、人間関係で軋轢や気持ちのすれ違いが起きるのは当然だろう。中でも、繊細さを備えた人は傷つく度合いが大きい。例えば、少しぶっきらぼうな対応をされただけで、相手に嫌われていると思い込んでしまう。その結果、相手を避けたり、人づきあい自体が苦手になったりすることもある。一方、図太い人は相手の言動に対していい意味で鈍感、おおらかである。胸に刺さる言葉も気にかけない。図太い人はなぜ、そんな振る舞いができるのか。

そもそも人間関係を結んでいる相手に対して、明確な悪意を持って接することはあまりないはずだ。心ないと響く言葉は、うっかり口が滑って出た可能性が高い。そこに悪意をかぎ取るのは過剰反応だ。

著者の尊敬する板橋興宗禅師は、カチンと来たら、深い呼吸を数回し、「ありがとさん」と心の中で三度唱えるのだそうだ。すると怒りの感情が静まっていく。深呼吸をして「平気、平気」などというのもよいだろう。この流儀が身につくと、相手の言動をおおらかに受け止められるようになる。

おおらかさと繊細さはよい人間関係を深めるための両輪だ。本書でいうところの図太さは、繊細ささえも大いなる魅力に変えてくれる。

「怖いもの知らず」は、「考えすぎる人」にない勢いがある
kazuma seki/gettyimages

物事を実行する際、熟慮することは大切に思える。一方で、禅の考え方では「禅即行動」という言葉もある。とにかくまず動きなさいと教えるのだ。考えすぎたら動けなくなるからだ。

例えば仕事でアポイントを取る際も、相手が大物だと、考えすぎる傾向がある。相手の立場や状況を慮ることは必要だ。しかし、それにもさじ加減がある。配慮しすぎると、腰が引けて一歩も進めない。一方、動くと何らかの反応があり、相手との縁がつながる。すぐに行動できる怖いもの知らずは、熟慮タイプにはるかに勝る。無鉄砲な人には、考えすぎる人にはない、がむしゃらな勢いがある。

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要約公開日 2024.12.15
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