迷ったら、ゆずってみるとうまくいく

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2024年07月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「時間に追われ、他人に気を配る余裕もない」「人間関係がギスギスして、なんとなく生きづらさを感じている」。本書はそんな状況にある方にお読みいただきたい一冊だ。

私たち人間が扱う情報量は指数関数的に増大している。意識的にデジタルデトックスの機会を設けていたとしても、情報の波に飲まれてしまいそうな感覚を抱く方も多いのではないだろうか。また、格差が拡大し、人生の指針を見つけにくい時代となりつつある。心の平穏から遠ざかってしまうのも無理はない。そうした状況に差し込む光となるのが本書だ。

著者は曹洞宗の住職であり、庭園デザイナーや大学教授の顔を持つ枡野俊明氏だ。禅の教えをもとに心に平穏を取り戻す方法を、優しい語り口で紹介した本が人気である。そんな枡野氏が今回取り上げたテーマが「ゆずる」である。情報に急き立てられる現代において、心穏やかに他者に「ゆずる」という行為の重要性をいま一度思い出させてくれる。

道元禅師は「放てば手に満てり」という言葉を残している。手放すと、空いたスペースに「いいもの」や「いいこと」が入ってくる。電車で席をゆずったら、笑顔が返ってきた。同僚に仕事をゆずったら自分が苦労しているときに手を貸してもらえた、という具合だ。

忙しい毎日に追われているとき、本書を手にすれば、忘れかけていた「寛容な心」を取り戻せるかもしれない。

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。近年は執筆や講演活動も積極的に行う。主な著書に、『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』などベストセラー・ロングセラーが多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「ゆずる」とは、器を大きく育てることであり、自分磨きのひとつだ。ゆずりあいの精神で共に器を大きくする関係をめざすとよい。
  • 要点
    2
    自分のためばかりでなく、人のために積極的に取り組む姿勢がよい社会をつくる。
  • 要点
    3
    仏教の「因縁」は、この世のすべてが巡り巡ってつながっていることを意味する。よい報いが得られるのは、今このときを懸命に生きる態度だ。
  • 要点
    4
    打算的な善行ではなく、真に他者を思いやる精神で「陰徳を積む」ことが大事である。

要約

競うことをやめると、うまくいく

ゆずることは、自分を磨くこと

人の器とは、度量つまり受け入れる心の広さを表す。器が小さければ水が溢れるように、他人の意見や考えを取り入れることはできない。逆に器を大きくしていけば、これまで溢れていた様々な意見や考えを取り入れられるようになる。すると、新たな気づきが生まれ、人間としての幅が広がっていく。つまり「ゆずる」とは、自身の器を大きく育てていくことであり、自分磨きのひとつなのだ。

中国の『詩経』には、お互いに競い合い、助け合いながら共に成長していくことを表す「切磋琢磨」という言葉がある。たとえば、やりたい仕事が同僚とかち合ったら、「君がやるといいよ。頑張りなよ」と気持ちよくゆずりたいものだ。すると、次に同じような機会があれば、相手は喜んでゆずってくれるだろう。こうして協力関係が醸成されていくと同時に、自分だけでなく共に器を大きくしていく関係を築くことができる。

「我欲」を「意欲」へ転換する
Nayomiee/gettyimages

事実よりも過剰に「リア充」を演出することを‟盛る”と呼ぶ。盛るという行為は自我の表れだ。自分自身の存在や考え方に執着する心を「自我」という。自我は仏教での「我欲」に通じていて、我欲は仏教では望ましくないものとされる。

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要約公開日 2024.12.13
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